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とある科学の傀儡師(エクスマキナ)
第52話 独りじゃない
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分からないかのように視線が四方八方に泳がせると、キッと佐天を睨み付けた。
「これが忍だ。勝ち負けじゃない......生きるか死ぬかだ」
「そんな道理知らないわよ!あたしの時と同じように無茶して......サソリが死んじゃうのは嫌だよ」

レベルアッパー事件が解決し、意識を恢復した際に聴かされたサソリの状態を思い出し、ポロポロと涙を流し始めた。
また自分の知らない所でサソリが傷付いているのが信じたくなかった。

「生きるか死ぬか......それだけが忍者の価値なの?」
「......お前」
忍としての根幹を揺さぶられたように感じたサソリは、静かに万華鏡写輪眼を開眼をした。
「そんなの絶対に間違っているもん!」
「少し落ち着いたらどうだ......」
木山が肩を庇いながら、口論をしているサソリと佐天の間に入ろうとするが......
「......何が分かる」
「え?」
「お前にオレの何が分かる!!」
「!......知らないわよ......そんなの知らない」
レベルアッパーにより繋がった木山はサソリの過去の一部を知った木山は苦い顔をした。

それはあまりに残酷で、救いようのない過去
両親を幼い時代に殺害され、愛情を求めて凶行に及んだサソリ

木山は、教え子を助けるためにレベルアッパー事件を引き起こした自分とサソリが少しだけ重なるような気がした。

だからと云ってやってはいけない事はある......それは分かっている
解りきっている
けど、それ以外に自分の存在意義を見出せなかったとしたら......
この世界は弱者に厳しい世界だ

「すまない。私が巻き込んだようなものだ。サソリ君は、君達を守るために」
「知らない知らない!だって、教えてくれないんだもん!あたしは、サソリの事を知りたいのに!」
「っ!?」
子供ように泣きじゃくりながら、佐天はサソリの身体を何回も叩いた。
ここまで依怙地になっている佐天にサソリも驚きの表情を浮かべる。

「早く」
「はあ?」
「早く傷口を見せる!治療するの!」
滝壺が肩を撃たれた木山と左脚の太ももを撃たれたミサカを治療した救急箱を持って来るとサソリの外套の裾を掴むと引きずるように無理やり座らせた。
そして、外套を剥ぎ取ると慣れない手付きで消毒するとガーゼを当てて、包帯を不恰好ながら巻いていく。

滝壺は荒い息をしながら、サソリと佐天の拡散力場を能力が底上げされた状態で見た。

サソリの背後に、黒髪でトゲトゲとした頭を持ち仏頂面をして腕を組んでいる少年
佐天の背後に、マッシュルームカットの少年が腰に手を当てて豪快に笑っている

この二人が煙のように観えた。
「まだら?はしらま?」
滝壺は首を傾げたが、深く考える余裕はなく意識をボーッと空気に漂
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