第52話 独りじゃない
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!糞ガキかてめぇは!」
麦野が手渡したのは、『体晶』と呼ばれる粉末状の薬品だった。
正式な名称は『能力体結晶』
意図的に拒絶反応を起こさせて能力を暴走状態にする薬品で、使用者に多大な影響を与えてしまうため、学園都市暗部でも禁忌とされる代物
つまり、サソリの居た世界で禁術と指定された術『八門遁甲の陣』をフレンダを止める為に、守る為に滝壺は自ら禁忌の薬品を使ったのだ。
目には目を、禁忌には禁術をぶつける。
最も合理的とも取れる判断を麦野は分析をして行動した。
バキンと面が割れて、赤い目をしたフレンダの目が元の色彩に戻ると微睡み、その場で気を失った。
「あいや......やられたっ......す」
バラバラに砕け散ったトビが切れ切れの言葉を辛うじて、悔しそうに呟いた。
もはや、生物とは思えない塵や破片が微かに振動して意思を伝えている。
「はあはあ......やった......」
フレンダの無事を確認すると滝壺は、面だけを正確に捉えないといけない針のように尖らせた集中力と失敗すればフレンダを喪うという圧倒的なプレッシャーの中で能力を酷使し、ふらついた。
「よっと。ご苦労だったわね」
麦野が滝壺の身体を受け止めると、今度は目をグルグルにして気を失っているフレンダをやれやれと言った感じで眺めた。
「全く!世話のかかる大馬鹿ものめ」
その顔はいつになく和らげだ。
「こんなお面に意識が宿るなんて事があるの?」
不思議そうに佐天が深い溝が彫られている面の一部を持ち上げ、摘んだ。
面の裏側にビッシリと触手のような樹木がワシャワシャと動いていた。
「ギョワァァー!!?気持ち悪!」
なんだろう
遠い昔にダンゴムシを持ち上げた際に見た裏側に似ている。
「身体よ......こすっ......す」
「あまり近づくなよ」
サソリが脇腹を抑えながら、佐天が摘んでいる面の破片を叩き落とした。
「サソリ!?確か白井さんに......ってかなり出血しているじゃない!」
脇腹を押さえているが、指の隙間から流れ出ている血液に佐天は驚愕し、本気に心配した。
「こんなの擦り傷だ」
「擦り傷なわけないでしょ!こんなに血が出ているのに」
「うるせぇな......お前には関係ねぇだろ!」
サソリは佐天の脇に置いてあった暁の外套を拾い上げると袖を通し始めた。
まるで傷口を隠すかのように外部から遮断した。
パシンッ!!
サソリの頬が平手打ちを喰らい、赤く染まった。
「!?」
平手打ちをした佐天は、今にも泣き出しそうな目をしてサソリを強く見つめていた。
「関係なくないわよ......ここに来るまでどんなに心配したと思っているわけ!!」
「!!?......」
赤く腫れた頬を軽く触れると、どうしたら良いのか
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