272部分:第三十八話 牛の角その三
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第三十八話 牛の角その三
「その中で生き残った者は二人だけだった」
「教皇と老師のみ」
シャカが言ったその二人だけであるのだった。
「御二人だけだったな」
「はい、御二人にとってあの時の黄金聖闘士達はです」
ムウはまた述べた。
「まさに盟友でした」
「その盟友の願いを私達が果たしているのですか」
アフロディーテもまた言うのだった。
「思えば不思議なことですね」
「そうですね。どうやら私達は何か運命の中にいるようです」
ムウは話しているうちにそのことに辿り着いたのだった。
「何かを果たす為に」
「ではムウ」
シャカが彼に声をかけてきた。
「これからですが」
「これから?」
「私達は多くの戦いを経ていきます」
このことは確かに言えた。何故ならそれが聖闘士の務めだからだ。特に彼等は黄金聖闘士だ。それならば余計に戦いが増えるのも当然だった。
「ですからまた」
「そうですね。確かに」
そしてムウも彼のその言葉に頷くのだった。
「そうなっていくでしょう。その中で私達は多くのものを見る筈です」
「死人の顔が増えていくだろうな」
デスマスクはあえて軽口で述べていた。
「俺の場合はよ」
「しかしそれでいいみたいですね」
「構わないさ、わかってることだからな」
そしてこうムウに返すのだった。
「もうよ。増えるのなら増えればいいさ」
「増えればですか」
「そうさ。死んだ奴の言いたいことは聞いてやる」
いつもデスマスクの言葉とは微妙に変わっていた。
「ちゃんとな。聞いてやるさ」
「そうですか」
「俺もだ」
今度言ったのはシュラだった。
「俺にあるのは剣だが」
「はい」
「この剣でこれからも多くの者を切り捨てていく」
彼もまたそれはわかっているのだった。
「ならばだ。その切り捨てた者の命は受けていく」
「貴方もなのですね」
「私もですね」
そしてそれはアフロディーテも同じなのであった。
「それは」
「では貴方の薔薇で見送った者も」
「その通りです」
彼もまたムウに答えるのだった。
「背負っていっています」
「だからですね」
ムウは三人の言葉を聞いてから静かに述べるのだった。
「貴方達が彼等の願いを適えているのは」
「それが全部じゃねえだろうな」
「そうだな」
「はい、確かに」
しかし三人はそれだけではないともここで言った。
「俺達はそれだけのものを背負わないといけないんだろうな」
「聖闘士としてな」
「この手で敵を倒すからこそ」
「それならばだ」
アイオリアはこれまで出陣したその三人の言葉を受けてまた述べた。
「俺達もそうなる。聖闘士である俺達もだ」
「その通りだな。私も御前達と同じだ」
カミュはその三人を見て告
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