外伝 煩雑な日常4連発
[5/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ンジョンの貴重なドロップアイテムたち。ただしその大半は何らかの薬の原料になるものと見た目が美しいだけの嗜好品であり、武器の材料になるようなものは極端に少ない。恐らく物珍しさのコレクションと、趣味の薬づくりに使うマテリアルといった所だろう。
横の棚は物置のようだ。魔物の調教用に使うような大きな首輪(端っこに「アズ?ロキ 愛の合作」と書いてある)、金属製のトランプ(イロカネ製のアレ)、用途のよくわからないからくり仕掛けのアイテム、高価かつ趣味的なマジックアイテム……数としては多くなく、棚を埋め尽くすほどには詰まっていない。暇を持て余したアズがフーあたりと一緒に作ったりコレクションしたものだろう。
なかなか興味を惹かれる物が出てこないなぁ、と思いながらさらに隣のクローゼットを開いたキャロラインは、そこでぴたりと体を停止させた。
――黒い。クローゼットの中にハンガー掛けで吊るされる寸法もデザインも完全に一致した真っ黒な上質のコートが、十数着にも及んでそこに鎮座していた。どれほど探してもクローゼット内は漆黒に包まれており、他の上着が唯の一着も存在しない。
「え?なにこれ………いやマジでなにこれ?」
クローゼットとはかくも黒き物だったろうか。それともこれはあくまで仕事服のストック的なアレであり、私服は別にあるのだろうか。………キャロラインの記憶が正しければ、アズと彼女が出会ってから彼が黒コートを身に着けていなかった日はない。晴れの日も雨の日も戦いの日も昼寝の日も、絶対に脱がない訳ではないものの完全に身に着けていなかった日がない。
――参考までに、『ゴーストフ・ファミリア』でも色々と標準的な方であるガウルが持っている私服は上着だけで6、7着。正装もあれば薄手、厚手など季節で変えるものもあるので同じ上着を持っていることなどない。ちなみにキャロラインは上着だけで100着以上持っていたりするが、それは彼女のお洒落に対する並々ならぬ情熱のなせる業であり、標準的な男性冒険者ならガウルと同じ程度の上着量だろう。
「おーいミルク持ってきたよー………ってなに人の荷物物色してんの?パクるなら何をパクるか先に申告してからにしてねー」
「あのさ、アズ。なんでアンタのクローゼットの中には黒いコートしか入ってないワケ?黒コート専門の店でも開く予定なの?これ全部同じ奴だよね?」
「全部じゃないよ。手前二つはそうだけど、他は耐火祝福済、耐水加工済、超密繊維入り、薬剤系の作業用、風通しのいい特殊素材、荒事なしのお外行き用、冠婚葬祭用……って感じにそれぞれ性質が違うんだよ」
「へーそうなんだー…………って判んないから!穴が開くほど見比べても違いが全然判んないから!むしろアンタが見分けつかないでしょ!?」
「大丈夫、だいたい服の纏う雰囲気で分かる!
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ