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俺達は何を求めて迷宮へ赴くのか
外伝 煩雑な日常4連発
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 @ ふたりとわんころり。


 オラリオという街は、中央や賑わっているエリアに限って言えば非常によく整備されている。下水道は完備なので中世ヨーロッパのように道路や川が糞尿パラダイスになっていることもないし、夜になると魔石灯が犯罪の温床となる暗闇に睨みを利かせる。無論それは賑わっていないエリアになると所々怪しい部分はあるが、それでも一定の水準は保っている。

 そして、そのように良く整備された街では野良犬や野良猫がウロウロしていることが少ない。野生生物は糞尿悪臭、住民を襲う凶暴性、器物の破損に盗難など様々な害を及ぼす。それが人間の勝手な都合によって勝手に「害」に分類されたのではないかという話はさておき、本当にオラリオには動物が少ない。

 もちろんガネーシャ・ファミリアには魔物以外の動物がいたりするし、畜産関係のファミリアは自分の土地に牧場を持っていることもある。或いは、とにかく動物が大好きで世界中の動物を集めては自分のファミリアにしているという極まった変神も存在したりするが………蛇足はそこそこに、アズは目の前のそれを見つめた。

「わうっ!!」
「………犬だな」
「ベルジアンシェパードドッグマリノア……ベルギー原産の牧羊犬だな。尤もこの世界では確かマノーリャと呼ばれているが。オラリオとは違う大陸の犬だが、物の覚えが早いことから大分輸出されていると聞いたことがある」

 しゃがみこんで犬を眺めていると、後ろからオーネストの補足が入った。よく一度見ただけで犬の種類が判別できるな、と感心する。いや、それ以前に彼は十数年前からこの世界で生きて来たのによく前の世界の犬の種類を正確に覚えているものだ。実は適当に言っていました、なんてのはベタなお約束だが、この男がそんな適当なことを言うような茶目っ気を持っている訳がないのでその名前で正解なのだろう。可愛げの「か」の字もない男である。

「物覚えが早いねぇ……お手!」
「がうっ!!」

 かぷり、と差し出した手のひらに鋭い牙が突き刺さり、アズは悶絶した。

「〜〜〜〜〜ッ!!ち、ちょっとしたジョークだからそんなに怒るなよぉ……」
「馬鹿、違う。お前の死の気配を警戒して自棄になってるだけだ」

 言われて犬を見てみると、ぐるるる……と唸ってはいるものの、さっきの威勢はどこへやら少しへっぴり腰になっている。そんなにビビらなくても取って食ったりしないのに、とアズはなるべく優しい口調で犬に最接近した。

「ぷるぷる。ぼくこわいてんしじゃないよ?」
「きゃうんっ!?」
「逆効果じゃねえか。脳みそぷるぷるゼラチン質なのかお前は?」

 駄目だった。むしろさっきより警戒されながらビビられている。
 そういえば昔からアズは動物と仲良くなった試しがない。ケガしたスズメを看病し
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