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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百七十話 共同宣言
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弁務官は全く役に立ちませんでした。あれだけ優遇したというのに……」
「……」
ルパートが何処か嘲笑するかのような口調でヘンスローを評価した。それとも俺を間抜けだと評価したのだろうか? だから嘲笑を感じたのか……。

「補佐官、ヘンスローに代わって帝国と交渉をした人間が居るはずだ。誰だと思う?」
「……分かりません。早急に調べましょう」
「うむ」

ルパート、俺を笑う前にそのくらいは調べて欲しいものだな。帝国と同盟にコケにされたのはお前も同じなのだ。

同盟と帝国が手を結ぶ可能性か、帝国は、いやヴァレンシュタインは同盟との共存を考えていない。しかし同盟は今回の一件で帝国との共存を当然考えるだろう。今の同盟は帝国との戦争に自信を持っていない。当然帝国寄りの姿勢を示す。つまり、帝国と関係が悪化しているフェザーンは孤立する事になる。そこまで考えての捕虜交換か……。

帝国と同盟の関係を悪化させる必要があるな。それとやはりあの男を早急に片付ける必要がある。とりあえず内乱は起させた。後は混乱を起しその中であの男を暗殺する……。これからだ、これからが本当の勝負だ……。



宇宙暦 796年 11月27日  ハイネセン ある少年の日記


十一月二十三日

今日、驚くべき事が起きた。帝国で反乱が発生したのだ。ブラウンシュバイク公、リッテンハイム侯が反乱を起した。いや驚くべき事じゃないかもしれない、前から帝国では内乱が起きるだろうと言われていたのだから。

むしろ驚いた事は帝国軍の宇宙艦隊司令長官エーリッヒ・ヴァレンシュタイン元帥が暗殺された事だった。当然だけど犯人は、ブラウンシュバイク公、リッテンハイム侯だ。

ヴァレンシュタイン元帥はシャンタウ星域の会戦で同盟軍を壊滅させた張本人だ。死んだと聞いたときはザマアミロと思ったけど、出来れば同盟軍の手で殺して欲しかった。

ハイネセンではこれを機に大規模な出兵で帝国領に攻め込むという意見が出ている。元々は内乱を長引かせる嫌がらせ程度の攻撃を、という話だったけれど、ヴァレンシュタイン司令長官が死んだことで今なら帝国を混乱させられるからということらしい。

大規模な出兵といっても三個艦隊を出すのが精一杯だそうだ。少しでも帝国を混乱させ、同盟が国力を回復する時間を稼ごうという事らしい。今、同盟軍が健在なら帝国を一撃で倒せただろう。本当に残念だ。あのシャンタウ星域の会戦さえなければ、帝国を倒す事が出来たのに……。

遅い時間になってから、帝国は内乱状態に入った事を宣言し、軍に鎮圧を命じたようだ。でも簡単に鎮圧できるのだろうか? 周囲の人は反乱は長引くだろうと予想している。司令長官が暗殺されたから体勢を整えるのに時間が掛かるだろうということらしい。出来ればその方が同盟にとって
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