暁 〜小説投稿サイト〜
銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百七十話 共同宣言
[2/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
だ。帝国が内乱状態に有る事が彼らの好奇心を刺激したのだろう。

私とヘンスローが会場に入ると一斉にどよめきが起こった。“おい、あれは”、“ヘンスロー弁務官だ、何故此処に”そんな声が聞こえる。会場に用意された会見用のテーブルに向かう。ヘンスローと二人並んで椅子に座った。カメラのフラッシュが私とヘンスローを襲う。

「本日はお忙しい中、お集まり頂いた事に感謝します。自由惑星同盟、ヘンスロー高等弁務官です。今日此処に皆さんにお集まり頂いたのは、銀河帝国政府、自由惑星同盟政府、両政府より重大な発表があるからです」

言葉だけなら格好が良いが、汗を拭きながらの発言では格好がつかないことこの上ない。今更ながらヘンスローにうんざりした。
「発表の内容については銀河帝国高等弁務官、レムシャイド伯爵に御願いしましょう」

御苦労だったなヘンスロー、此処から先は私の仕事だ。
「銀河帝国高等弁務官、レムシャイド伯爵です。この度、自由惑星同盟政府と銀河帝国政府は両国が抱える捕虜を交換することで合意しました」

またカメラのフラッシュとどよめきが私を襲う。こればかりは慣れそうに無い。どよめきが静まるのを待ってから言葉を続けた。
「ただ残念な事に現在帝国内では大規模な内乱が発生しております。従いまして捕虜交換につきましては帝国内の混乱が終結してからとなります」

「内乱終結後、両国の軍によって捕虜交換の手続きを調整、調印式を行った後、捕虜を交換するということで両国政府は合意しました」

こちらの発言が終わったと判断したのだろう、記者の一人が早速質問をぶつけてきた。
「この捕虜交換ですが、帝国が内乱の間自由惑星同盟の攻勢を防ぐための謀略では有りませんか、内乱が終結すれば反古になるのでは?」

想定された質問だ。この質問の受け持ちはヘンスロー、卿だぞ。
「そ、そうならないように、こうして共同会見をひ、開いています。皆さんがこの声明の保証人になるわけです。そ、それに帝国にも同盟にも捕虜の返還を待ちわびる人達が大勢居ます。その思いを踏みにじるような事は出来ません」

汗をぬぐい、原稿を棒読みするような調子でヘンスローが答えた。もっと堂々と言ってくれ、それでは少しも感銘が与えられん。
「レムシャイド伯爵はどうお考えですか、帝国のヴァレンシュタイン司令長官は謀略家だと言われていますが、これがその謀略の一つと言う事は有りませんか」

「先程ヘンスロー弁務官が申し上げたとおり、帝国にも捕虜の返還を待ちわびる人達が大勢居るのです。謀略などでは有りません。前回、イゼルローン要塞の失陥で多くの人間が同盟に囚われているのです。彼らを一日でも早く帝国へ帰還させることが急務であろうと政府は考えています」

「では、今回の捕虜交換、これは両国が共存の道を選び始
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ