君のことは。 【映日果】
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だよ!」
「い、いや、り、凛は……」
男たちの威圧に気圧され、凛は少し後ずさる。
「あれ、よく見たらこの子結構かわいいじゃん?」
「あ、俺この子知ってる。μ'sの星空凛じゃなかったっけ?」
「マジで!? なんか話題になってるやつか! なあお嬢ちゃん、いや、凛ちゃんだっけ? ちょぉっと体貸してくれない? そしたら猫も返しちゃうからさぁ」
「い、いや! や、止めてください!」
嫌がる凜の腕を無理やり持ち、上に引き上げる。とっさに反抗した凛の手が不良の一人にぶつかった。
「ほう、いい度胸だな、これはたっぷり体で話をしねえとだめみたいだなぁ……」
「え、いや……! な、なんでそんなことする、にゃぁ!」
青いブレザーを取られ、彼女のブラウスに手が伸びた時
「や、やめてください! り、凛ちゃんに、手、出さないで!」
「かよちん!? 来ちゃダメ! 逃げて!」
こんな状況だが、凛は幼い頃のある記憶が思い出される。
交通博物館で凛が警備員に注意されてた時、花陽が助けてくれた記憶。それを思い出すと不思議と力が湧いてくる気がした。
「にゃあ!!」
凛が不良の手を振り切り、花陽のもとに走る。
「大丈夫だよ、かよちんは凛が守ってあげるから」
「凛ちゃん! 一緒に逃げよ?」
凛は頷き、花陽の手を取り、走り出す。
だが、ここは路地裏。しかも自分たちが知らない道。
そんな中、この場をホームとしている彼らから逃げられるはずはなく。まして、花陽と言う足手まといがいる中ではスピードも出ない。
かくして、彼女たちはあっという間に差を詰められてしまった。
「本当に最高だよ、お前ら。でももう諦めろ……っよ!」
凛のタックルが見事に決まり、一瞬よろける。その隙に二人は抜け出し、また駈け出す。
「……あの女ぁ……絶対許さねえ……!」
おもむろに取り出したのは折りたたみ式の小さなナイフ。それを手の中で開き、刃を出す。
「多少手荒になっても手に入れてやる」
「あれ? 凛ちゃん、花陽ちゃん、そんなに走ってどうしたの?」
走った先に偶然いたのは二人が想いを寄せる春人。
「春くん、ここにいちゃダメ! 早く逃げないと!」
「逃げる? 本当にどうしたの、凛ちゃん。花陽ちゃんも何か言って……」
そこで言葉は切れた。背後に迫ってくる男たちに気がついたから。
「ちょっと痛い目みないとわからないみたいだな」
そう言って、駆け寄ってくる不良の手にはナイフが光る。
不良の狙いは凛ではなく花陽。より近くにいたこともあるが、狙いはもう1つあった。
「かよちん! 逃げて!」
「ぁ、ぁ……」
萎縮してしまった花陽は動くことができない。花陽は覚悟を決め目を瞑る。
だが、いつまで経っても来るべき肉を引き裂かれる
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