見知らぬ改札前
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平和な世界か、なら俺は……」
人通りの多さに辟易しながら本郷は秋葉原の街を歩く。
そこは彼の知る秋葉原とは違う。
2016年の秋葉原だ。
リアル社会でいい思いをしなかった男達の世界ではない。
明「ならば漢の道を極めるだけだ! 別の世界の二次元を知れるなんてなっ!」
不動産ビルの前で咆哮する本郷。その裏で彼を見つめる謎の影があった。
明は颯爽と次々にとら、めろん、ソフ、メッセ、メディオなどのオタクショップに入り、次々に気になったものを買い込んでいく。
明「すべては次元連結の貯金だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
彼のお金はすべてオタク文化へと注ぎ込まれていく。
明「萌えに世界線など関係ねぇぇぇぇぇぇっ!」
駆け回る本郷。ここはオタクの街、秋葉原。
地形効果は抜群だ。
たとえ世界が変わろうとも彼はオタクの道を究めし者。
明「がははっグッドだ!」
オタク文化に接続された本郷は瞬く間に情報を仕入れていった。
時刻は20:00。秋葉原の店もほとんど閉まっていく。彼は一休みとパーツ街を抜け、
公園のベンチに座る。両手には買い込んだアニメ、漫画、ゲーム、同人誌、エロゲ、なんでもあった。
当時よりも便利になったネットもフルに活用し、amazonの購入履歴は既に100件を超えていた。
明「……ここはまさに、進化した世界だ。オタク文化の頂点だな」
そういう彼の額には汗が流れていた。
明「これだけ創作物があると追いきれない……しかし俺は漢。見逃すなんてあり得ない」
社会的地位を捨ててでもオタクになると決めた彼に不可能はない。
明「……それで、なんで俺を追い掛け回すんだ?」
本郷はベンチから立ち上がった。彼は歴戦の戦士であり、地形効果を受けるオタク。
???「みつかったんかぁ」
萌え声プラス関西弁(美少女ボイス)で語りかけてくるはフードを被った女であった。
フードから見える銀髪はおそらく日本人ではない。薄いパーカーにセーラー服。
明「奨学生(小学生ではない)か……学校は終わってるだろう。こんなところで何してる」
???「この時代にはない魂の濃さを感じて」
明「こいつ……」
本郷は感じ取った。以前のアキバにはあった変異のもの。アキバが特別区となり異形の者や、明らかにいてはいけない者たちが存在していても許されていた世界。
しかしこのアキバにはそんな奴はいない。二次元の世界ではないのだ。
???「こんなに濃密な匂いさせてあるいてんやから……アタシ、我慢できひんっ!」
本郷との距離はおよそ10メートルはあったであろうか。
わずか一秒で懐に飛び込まれる。人の動きではない。
本郷は初めて、驚きの表情が出た。
明「なにっ……美月を越えるのか!」
反復跳躍するが、逃れ切れない。
すがりつかれるように本郷は押し倒される。
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