先恋〜此処でも君と〜
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「そう言えば私…陸上部の顧問だったっけ?」
放課後、沙奈はそう呟いた。どの様な子が居るのか、分からないが、部活の顧問として、部活には出なければいけない。また、揶揄われたら…、次は誰も助けてくれないかもしれない…沙奈はその気持ちで胸が押し潰されそうだった。
「まぁ、行かなきゃいけないもんね」
沙奈はグラウンドへ急いだ。
「ほらっ!アップ行くよ??」
「はいっ??」
既に部活は始まっていた。部員たちはアップへ向かっているらしい。
「あ、えっと…」
部長らしき人物に声を掛ける。
「ごめん、ちょっと良い…かな?」
その人物は振り返り、沙奈の顔を見て両眼を少し大きめに開いた後、微笑んだ。
「瑞木先生、」
「え?春先君って、陸上部なの?」
「はい、そうですよ」
「もしかして…部長…?」
「えぇ、そうです。」
「でも、春先君って…二年生…」
「あ、三年生が居ないんですよ、この部は…」
陸太は何やら言いにくそうな顔でそう言った。
「そ、そうなんだ…」
沙奈は悪く思いつつも、周りを見て、「ご、ごめん!アップ行ってきて」と伝えた。
「結構な人数…なのかな?」
陸上部は全部で十五人、多いのか少ないのか、何とも言えない、いわば中間といえる人数だ。男子が十人、女子が五人と、男子が圧倒的に多い。女子の中では、運動部としてはバレー等が人気の様で、陸上部の女子は少ない様に見えた。五人居るだけでも十分に感じられるが…と、沙奈は不思議そうに円状に広がり、体操をしている部員達を見つめる。
「よし、じゃあ、アップは一回ストップ、瑞木先生に挨拶、な!」
そう言い、陸太は部員を横一列に並べた。部員達の正面に、ニメートル程の間隔を開けて沙奈と、沙奈の隣に陸太が立つ。
「えっと、今日から陸上部の顧問の先生をして下さる、瑞木沙奈先生だ。アップや、競技としての指示をして下さると思うから、ちゃんと指示に従って、素早く行動しような!」
部員達が大きな声で返事をする。
「えっと…もし良ければ先生から…」
陸太が沙奈を見る。沙奈は小さく頷き、一歩部員達に近付くと、
「改めまして、瑞木沙奈と言います、中学、高校では陸上をしてました。ちゃんとした記録を残せてた訳ではないんだけど…、前回の顧問の先生は、陸上の経験があった方…だったのかな?」
沙奈が陸太に問う、と、陸太は沙奈を見ながら、
「以前の先生…鏑木先生は、陸上専門ではなかったのですが、陸上部に、」
「そっか、ありがとう、えっと、なるべく皆をサポートしたりしたいと思ってます。宜しくね、」
「よし、じゃあ、自己紹介、しとこうか、」
そう言うと、陸太は部員達の列の端に立った。
「まず、僕は春先 陸太です、お願いします」
そう言い、一礼をした。そこから、一人ずつ自己紹介をする。
「中川 咲です
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