精神の奥底
60 ゼロからの再始動
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伊集院炎山と光祐一朗は重い足取りでサテラポリスへと戻ってきた。
時間にしてみれば、僅か2、3時間だった。
しかしネットが使えないために、ニホンにいるオフィシャルの捜査員との連絡や情報の共有もままならず、実際に足を使い、NSXの中を拠点に地図を広げて昔ながらの調査を行っていたのだ。
慣れない捜査に不思議と丸一日経ってしまったのではないかと思ったほどだ。
だが調査は思った通り、いやそれ以上の成果を上げた。
そして慣れない手法の調査は炎山自身もある意味、学ぶことが多かったのかもしれない。
祐一郎はさっきより不思議と更に大人になったような炎山の顔を横目で見ながら、何故かほっとため息が出た。
「伊集院さん、こっち」
「笹塚、任務は?」
「休憩時間ッス。それに食堂には防犯カメラは無いですから安心してください」
「ヘンゼルは?」
「屋上から何分か前に、さっきと同じ席に戻ってきました」
炎山たちがやってくると笹塚が合流し、さっきと同じ席に座っているリサの方を見た。
さっきまではお供にカップのコーヒーだったが、今は湯気の立ったホットミルクだ。
少し腹のあたりを擦っている様子から察するに、コーヒーの飲み過ぎで胃を軽く痛めたらしい。
「屋上に?誰かと会っていたのか?」
「電話してたみたいです。それがどうかしたんすか?」
「いや、木場かValkyrieと接触があったのではないかと思ったんだが」
「少なくとも木場って可能性は無いっすよ。館内での通信や通話は記録に残って、課長でも立ち入れない領域に保存されます。大丈夫なのは屋上とココだけです」
「もし木場がヘンゼルを利用しようとしていたら、証拠を残すような真似はさすがにあの無能でも……」
炎山の頭は既にどれだけより多くの証拠を掴めるかに切り替わっていた。
証拠は多い程いい。
調査でほとんど決め手になるものは入手しているといっても、万が一という場合もある。
もし木場の声があれば、何よりも完璧な証拠となるところだったと思うと少し残念に思った。
「でもそれでリサさんの様子が少し変わったんです。先より少し肩の荷が下りたような顔してます。それに…電話の最中に少し嬉し涙流してました」
「そうか」
「多分、昔の友だちとか先生とかだったんだと思いますよ」
炎山は笹塚の話を聞いて、少し声のトーンが下がった。
その上で自分もさっきと同じ席に座った。
ただ先程と違って、リサのことを犯罪者として目の敵にしていた時の荒々しさは無く穏やかな座り方だ。
「どうだ?協力する気になったか?」
「…ハイ」
リサはあっさりと協力に応じた。
炎山はもしかしたら断られるのではないかという一抹の不安を抱いていたため、ひとまず安心した。
しかし理由がいまいちはっきりしないのは、少し引
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