第十五話 衰える身体その十三
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「ロートリンゲン家も使っている模様です」
「それは本当ですか」
「確かな証拠はありません」
「やはりそうですか」
「それを掴むことは」
「デューダー卿でもですか」
「申し訳ありません」
「いえ、ロートリンゲン家はアントワープ家以上の権門であり」
マリーは頭を垂れたデューダー卿によしとして述べた。
「そうしたことも昔から噂されていて」
「むしろアントワープ家以上と」
「そうも言われている家なので」
だからだというのだ。
「その尻尾を掴ませることもです」
「出来ませんか」
「ですからその話だけでもかなりのものです」
デューダー卿が今話したそのことだけでもというのだ。
「あの家は謀略も得意としていて」
「毒殺もです」
「疑われているということだけでも」
「充分ですか」
「太子はマイラ姉様のご主人です」
この立場からもだ、マリーは考え述べた。
「それならば」
「マリー様のお命を」
「狙うかも知れません」
「おそらくですが」
ロドネイ公も自身の分析を話した。
「太子、そしてロートリンゲン家はマイラ様をです」
「この国の王にとですね」
「考えておられます、そして」
「姉様と太子の間にお子が産まれたならば」
「その方をと考えています」
「ロートリンゲン家らしくですね」
「やはりあの家は婚姻の家です」
ロドネイ公は確かな声でこう言った。
「婚姻で今に至った家なので」
「その際に何があったのか」
「考えるとです」
「陰謀を疑うことが自然ですね」
「マイラ様を王位に就けられたいのなら」
「私は邪魔ですね」
「そうなりますので」
ごく自然にだ、そうなることだった。今現在王位に最も近い彼女がマイラを女王にするには最大の障壁であることは言うまでもない。
「ですから王国と共に」
「太子、ロートリンゲン家はですか」
「気をつけるべきです」
「わかっています、毒にはですね」
「特にお気をつけを」
「そしてそのうえで」
マリーは強い声で言った。
「マイラ姉様とですね」
「お話をされて下さい」
「わかりました」
ロドネイ公のその言葉に頷いて答えた。
「そうさせてもらいます」
「それでは」
「マイラ様は決して悪い方ではありません」
大司教はこのことを保証した。
「心根は非常にいい方です」
「それは私もわかっています」
「あの方はただ心を閉ざされているだけです」
「それが為にですね」
「今の様になっているだけで」
「決してですね」
「怯えられることも警戒されることもありません」
こうマリーに言うのだった。
「あの方につきましては」
「その通りですね」
「はい、ですから」
それでというのだ。
「お会い出来ればです」
「そこからです
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