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東方叶夢録
人里
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怪って呼ばれてるわ」
宵闇の妖怪と言われても叶夢はあまりピンと来なかった。確かに真っ暗だったが。
「うん!多分覚えたー」
「そ、じゃあ帰るわよ叶夢」
「はーい…てあれ、荷物どこだっけ…」
追われていた時逃げるために置いたのだがどこに置いたのだろうか。
「あ」
「どうしたの?早くしなさい」
「えーと、霊夢さん。ごめんなさい」
「は?何を謝って……」
霊夢が叶夢の方に振り返るとそこには見るも無惨に潰れた風呂敷に入っていたものが散らばっていた。
「……お昼ご飯は抜きね」
「はい…」
ルーミアに追いかけられていたので仕方ないと言えば仕方ないのだが反論したら晩も抜きにされる可能性があったので素直に受け入れた。
「じゃーまたねー」
「あ、ルーミアさん。さよならー」
「いつもこの辺飛んでるから。今度は見かけても食べないし暇だったら遊んでねー」
「はーい、喜んでー」
そう言ってルーミアは去っていった。「お腹すいたなー」と言いながら消えていったのでまだ食べられそうなものをあげればよかっただろうかと思う。
「あんた、食べられそうになったってのに意外と肝が座ってるのね」
「ええ、まあ。もう食べないって言ってましたし」

帰り道。無事なものを抱え並んで歩いていると思い出したように霊夢が問うてきた。
「そういえばさ、ルーミアが避けるの上手いって言ってたけどあんたあの暗い中避けてたの?」
「うーん…避けてたんですけど、自分の意思じゃないって言うか。勝手に体が動いていたんですよ」

《回想》
(夜しか出ないんじゃないんですか…)
そう思っていると急に体が横にスライドしたのだ。
「うわっ」
自分の意思ではなく勝手に動いた。そして元いた場所を何者かが高速で通り過ぎたのが風でわかる。
「あれー?」
声の主は不思議そうだった。食べたと思ったら獲物が動いたからだろう。
「この辺だとおもったんだけどなー」
そう言って声は辺りを回っている。
(もしかして、向こうも見えてない?)
そう思っていると今度は急にしゃがんだ。次の瞬間頭上を通り過ぎる声の主。
「なんだこれ…」

《回想終了》
「こういう感じでして」
「ふーん…」
霊夢は不思議そうな顔をしていた。
「てい」
そして何を思ったのか突然こちらに拳を突き出した。
「わっ」
しかし間一髪で叶夢はそれをかわす。しかしそれは叶夢が避けようとして避けたものではなかった。
「今のも勝手に?」
「はい」
「そう…」
何かを考えるような顔をしていたがそれは少しの間ですぐに戻った。
「ま、危機回避能力に長けてるってのはいいことよ。それが自分の意思でなくても」
「まあ、そうですねぇ。幻想郷では特に」
自分の意思ではないというのは些か不安だが現に今回これのお陰で助かっ
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