百七 鬼が出るか蛇が出るか
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の護衛任務が無事完了してからにしましょう。それまでは足穂殿、鬼の国に戻ってこの紙の内容を検討しなければならないのでは?」
「そ、それはそう、なんですが…」
紫苑をナルト達に託してしまって良いのか、と悩む足穂の背中をナルトはそっと押した。
「我々としても、鬼の国の遺跡で幽霊軍団を相手にしている仲間の安否が気がかりでして…」
「幽霊軍団!?【魍魎】の手下の!?もしや足止めしてくださってたのですか!?」
ナルトの一言で、足穂はようやく、自分達に襲い掛かる敵がクスナ達四人衆だけだった理由を知った。
「ええ。遺跡周辺に張っている結界内部で幽霊軍団と対峙しています。護衛任務が完遂した暁にはその結界は解かれますので、結界が解かれ次第、内部で闘っていた仲間に治療を施してやってください。その際、彼らが何者かいうのは秘密裏にお願いします」
「わ、わかりました」
ナルトが手渡した紙を今すぐにでも検討したい足穂は、一も二も無く了承する。
逸る気持ちを抑え、鬼の国への道を今度は間違えようもなくまっしぐらに向かう彼の背中を、白はやや呆然とした面立ちで見送った。
「あの紙…そんな重要書類でしょうか」
「彼にとっては、いや…鬼の国にとってはそうだろうな」
足穂が残した円陣を象る石を足で軽く弾きながら、ナルトは眼を細めた。
本当は護衛任務完了後に伝えたかった件だが、足穂を思い止まらせる為には致し方ない。実直な人柄故に頑固でもある足穂を帰郷させるには、こうでもしないと鬼の国に戻ってくれないだろう。
さりげなく鬼の国の遺跡で幽霊軍団と闘っている再不斬達の労いを頼んだ彼は、鬼の国の屋敷に続く道程を急ぐ足穂の後ろ姿に、ふっと微笑する。
その微笑に気づいた白は「ナルトくん、貴方は足穂さんの命を救ったんですね」と確認に近い言葉を投げた。
「あの術が発動し、巫女の姿に成り代われば身代わりとして死んでしまう。それを防いだんですね」
「そんな大層なことじゃないさ」
敬意に満ちた白の視線に、ナルトは切なげな笑みを返した。
「既に死んだ者に成り代わるのならともかく、足穂殿には彼自身の姿で生きてほしいから………人はそれぞれ自分の生き様がある。その人間の生き様は何者にも邪魔されてはいけない。たとえそれが、」
そこで言葉を切って、ナルトは夢から目が覚めたようにパッと表情を変えた。
己の影分身が消えたのを感じ取り、そこから伝えられた情報に顔を顰める。一瞬黙考した彼は導き出した策案から、白に声を掛けた。
「頼みがあるんだが」と急に告げられた言葉に、白は一瞬困惑したが、従順に頷きを返す。
つい寸前まで物思いに耽っていたナルトの心意をはぐらかされたと知っていながらも、彼はナルトの意味深な言葉をあえて追及しなかった。そうされてほしく
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