百七 鬼が出るか蛇が出るか
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けながら、足穂は何処か彼方で戦闘の音がするのを聞いていた。次第に大きくなるその音に焦燥感が募る。
己の主である紫苑は無事であろうか。
主人の命令で鬼の国に帰るよう仕向けられたものの、足穂は別ルートでナルト達を追っていた。
紫苑の母である弥勒に足穂の一族は大いにお世話になっている。その恩に報いる為にも鬼の国の巫女たる紫苑は絶対守らねばならぬ。
それこそが己に課せられた使命であり、自分の存在理由だと足穂は信じて疑わなかった。
儀式にちょうど良い大きさの空き地を見つけ、準備をしていた足穂は此方に近づく人の気配にハッと顔を上げた。急ぎ、傍らの茂みに身を潜ませる。
敵の一人かと緊張していた彼は、視界に飛び込んできた姿にほっと胸を撫で下ろした。
視線の先では、紫苑を背負った白が額の汗を拭っている。紫苑の安否を確認しようと、足穂が茂みから立ち上がると同時に、白が反射的に飛び退いた。
「驚かせて申し訳ない…足穂です」
「足穂さん…?」
追って来た敵をナルトに任せて、沼の国の祠を目指して森の中を突き進んでいた白は、思わぬ人物との再会に困惑した。警戒態勢を解きながらも、驚愕の表情を浮かべる。
真っ先に紫苑の様子を窺う足穂の気遣わしげな視線に気づいて、白は「大丈夫。眠っているだけですよ」と答えた。
「それより何故此処に…?貴方は鬼の国に帰ったはずでは…」
白の問いに応えず、足穂は先ほど自分が用意を施していた場所へと戻ろうと踵を返した。促され、紫苑を背負ったまま白も足穂の後をついて行く。
足穂が招く場所へ向かった白は、目の前に広がる奇妙な円陣に眉を顰めた。
怪訝な顔をする白をよそに、足穂は手頃な石をびっしりと並べて作った円陣の中心へスタスタと足を進めてゆく。
陣の外で佇む白の眼前で、印を結び始めた足穂の身体からチャクラが迸った。それと相俟って、白い帯のようなモノが足穂の全身を覆い尽くすように絡みつく。かつん、と石が鳴る音がした。
瞬間、円陣から放たれていた光が急激に明るさを失ってゆく。白い帯がすう…と消えてゆく中で、足穂が愕然とした顔で立ち尽くしていた。
「そんな…どうして…!?」
術が発動しない事実に呆然とする足穂の瞳に、整然と並べていた石の一つが陣から外れている光景が映った。
「高等な術は陣の一つでも崩されれば発動しない」
円陣を象っていた石の一つ。それを軽く弾いて陣を崩した張本人が何時の間にか木の上で腰掛けながら、手中の石を弄ぶように転がしている。
その声に気づき、ぱっと顔を輝かせた白と、足穂の表情は対照的だった。
「何故邪魔をするんです!?私は…」
「紫苑様を守る為に彼女の身代わりになると?」
自分の本意をあっさりと暴かれ、顔を強張らせる足穂に、ナルトは困ったような
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