百七 鬼が出るか蛇が出るか
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頭上に浮かぶ巨大な水の珠。
それがゆらりと波打ったかと思うと、たちまち龍の姿へと変貌する。
「そんな攻撃力の欠片もない虫けらなんざ、コイツの餌にしちゃえば終わりだよっ」
ナルトの周りを飛び交う黒白の蝶の群れを一瞥して、シズクはハッと鼻で笑った。
「【水襲・剛流豪雨】!!」
術の名の通り、怪物ゴルゴーンの髪である蛇の如き龍が鎌首をもたげる。
『恐ろしいもの』という意に相応しい龍は鋭い歯がびっしり生えた口をカッと開き、ナルト目掛けて襲い掛かった。
巨大な水龍に蝶の一群は為すすべなく呑み込まれてゆく。水で出来ている故、透き通る龍の胴体に、黒白の蝶がひらひらと舞うのが見えた。
「――まぁ確かに攻撃用ではないが」
周囲の蝶がほとんど水龍の口に呑み込まれてゆくのを平然とした顔で眺めながら、ナルトはおもむろにパチンと指を鳴らす。
途端、水龍の胴体がカッと眩い光を発し、そして弾けた。
裂けた龍が雨となってシズクの頭上に降り注ぐ。巨大な水龍が瞬く間に水へ戻ってゆく様を、シズクは呆然と仰いだ。
「な、なにが起こった…!?」
(デイダラを真似てみたが、意外と上手くいったな…)
狼狽するシズクをよそに、ナルトは内心呑気に呟く。彼の脳裏で、死因をやたら爆死にしたがる人物の姿が過った。
蝶を水龍の中で爆発させたナルトを、警戒心を露わにシズクが睨みつける。
「先ほどの話の続きだが、」
無意識に後ずさるシズクに気づかないふりをして、ナルトは穏やかな物腰で、しかしながら鋭く問い質した。
「いつまで死者に従うつもりだ?」
ビクリ、とシズクの肩が大きく跳ねる。今まで眼を逸らしてきた事実を突き付けられ、顔を伏せる。
思い浮かぶのは、自分の主である黄泉から死臭が漂う光景。
明らかに動揺した風情のシズクを、ナルトは静かな眼差しで見据える。その瞳からは何の感情も窺えない。
不意に、不穏な空気とチャクラを感じ取って、ナルトは秘かに眉根を寄せた。君麻呂が【呪印】を使ったのか、と推測した彼はこの場を早急に片付ける事に決める。
己の心中に葛藤を生じさせた張本人が涼しい顔をしているのを見て、シズクの頭に血がのぼる。
「ボクちゃんに何がわかるってのさッ!?」
そう叫ぶや否や、手を前に突き出す。シズクに降り注がれた龍の名残の水が槍の如く飛び出し、ナルトを串刺しにせんと迫り来る。
「危ないよ」
水の槍を難なく避けたナルトがシズクの背後に眼をやって、何の前触れもなく一言注意する。
「は?……ガァッッ!!」
ナルトの言葉を聞くよりも一寸早く、シズクの身体が半分近く消し飛んだ。
我が身を愕然と見下ろすと、円形の穴が穿たれている。抉られた円の向
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