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STARDUST唐eLAMEHAZE
第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#2
STRENGTHU 〜Steel Gigas〜
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【1】


 さざめく漆黒の波間以外、無音の空間。
 タラップから石油タンカーに乗り移った一行を迎えたのは、一面の静寂。
 来襲する筈の敵の姿は疎か、人の気配自体がしない。
 赤錆にまみれたブリッジ、管制塔、石油タンク、船倉、ウインチ。
 至る所に設置されたクレーンが首長竜のように
不気味なシルエットを闇夜に浮かび上がらせていた。 
「……一体何だ? この船は……」
 錆びた金属が軋む音と共に操舵室に足を踏み入れたジョセフは、
当然のように無人のその場所で当惑を漏らした。
「操舵室に船長がいない、無線室に技師もいない、誰もいないぞ!
にも関わらず計器や機械類は正常に作動しているッ!」
 旧式機械の、妙に不安感を煽る作動音を後目に無頼の貴公子が口を開いた。
「工学に詳しくはねぇが、
どう見ても無人(オート)で動けるような代モンじゃあねーな。
最低でも腕利きの本職が10人はいねーと、
航行もままならねーんじゃねーのか、この手の貨物船(ヤツ)はよ」
「自在法……なら可能だけど紅世の徒の気配しないし、
宝具を使ったとしてもそんな回りくどい真似するかしら?
取りあえず船を停止させて何処かに隠れてるだけじゃないの?」
 彼の言葉を受けて、脇の美少女も自論を述べたその矢先。
「おいジョースターさん! みんな! こっちに来てくれッ!」
 精悍な青年の声が操舵室の外から聞こえた。
「ポルナレフ! 危険だから一人で勝手に動き回ってはいかん!」
「連帯行動の取れないヤツねッ!」
 ジョセフとシャナが踵を返した後に承太郎と花京院も続く。
 カツコツという独特の金属音と共に、3つ離れた船室の中に在ったモノ。
「……」
 大仰な錠前が三つも付いた鉄格子の中に、一匹の獣が平然と座していた。
 脚の2倍はある異様に長い両腕に、総身を覆う分厚い毛皮。
 焦点の定まらぬ瞳、潰れた鼻と不揃いな歯。
 人間との共通点は多々あるが、明らかに似て非なる存在。
「……猿?」
 部屋に立ち込める野生の気配に少女が眉を顰めると同時に、
「これはオランウータンだよ。シャナ」
背後の花京院が穏やかに補足した。
「気をつけろよぉ〜、オランウータンの腕力は人間の5倍以上だって言うからなぁ〜。
うかつに近づくと、その可愛いお手手も持ってかれちまうぜぇ〜」
 からかうような口調でそう脅す、男のニヤついた顔が気に食わなかったので、
「あらいたの? ポルナレフ。
檻の中のヤツと区別が付かなかったわ」
澄ました口調でシャナは返す(何故か花の咲くような満面の笑顔で)
「アァ!? このハンサムガイと檻ン中のエテ公と!
一体何をどうしたら間違うっつーんだッ! えぇ!?」
「うるさいうるさいうるさい! そういう単細胞な所が猿そっくりなのよ
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