第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#2
STRENGTHU 〜Steel Gigas〜
[6/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
迫っていた。
血走った双眼は得体の知れぬ獣欲を噴出し、
人間の5倍はあるという腕の力で両肩を乱暴に押さえ込んでいる。
(こ、この……ッ!)
不意を突かれた怒りより嫌悪感が勝った少女は分厚い毛皮で覆われた腹を
無造作に蹴り飛ばした。
「ゲウッ!」
人とは似て非なる呻き声と共に背後に吹っ飛んだ醜獣に、
少女は大刀を両手に追いすがる。
そして大上段から振り下ろされる無慈悲の斬刀が対象を両断する刹那。
ガギィィィィィィッッッッッ!!!!!
火花と共に肉を裂く感触とは真逆の手応えが、
握った柄から指の骨にまで沁み渡った。
「UKYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!」
三度驚愕。
壁を背に追い詰められた筈の獣は、 『その部分と一体化していた』
まるで凝結する前のコンクリートのように、
硬い鋼板は自在に歪み獣はその中を這い回る。
野生の本能。
その瞬発性では人間を遙かに上回る格差を見せつけながら
獣は壁にめり込んで消えていった。
「いまの! 今のヤツがッ!」
「むう、信じられん。 “彼奴” の他にもいたのか……」
二人の脳裡に浮かぶ、 “人間以外の” スタンド能力者。
“人間でないが故に” その能力は無尽、
発現形もこちらの想像を絶する形容を執る。
「おそらく “鋼鉄を操る能力”
あのバカ犬が “砂を操った” みたいに……
え!? それじゃッ!」
「 “ここ” から出ろ! シャナッ!」
相手の能力を悟った瞬間、
シャナが青ざめたのとアラストールが叫んだのはほぼ同時。
周辺を取り囲む物の材質は、スベテ漏れなく鋼鉄製。
頭上の換気扇、ダクト、配管、電工パネルに防火扉。
さながら蜘蛛の巣にかかった蝶の如く、自分は完全に捕らえられてしまっている。
「――ッ!」
反射的に焔儀の構えを少女が執ろうとする間に、
背後から配水パイプと消化ホースが蛇のようにくねりながら忍び寄り、
「UUUUUUUKYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA
―――――――――――――――――――――ッッッッッッッッ!!!!!!!!」
醜獣の奇声に連動して少女に巻き付きその華奢な躰を壁面に拘束した。
「し、しまったッ!」
躰を半分鋼鉄にめり込ませ歯噛みする少女。
四肢にまとわりついた拘束具は、大雑把ながらも機能的に自由を奪う。
そしてその時を待ちかねたかのように、
悍ましき獣が反対側の壁からゆっくりと姿を現した。
(!?)
しかしその様相は一変。
肩章の付いた船長服の上着と帽子、不揃いな歯を覗かせる口元には
火の点いたパイプを銜えている。
この巨大船の主は自分だとでも誇示するような、異様極まる恐嚇。
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ