第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#2
STRENGTHU 〜Steel Gigas〜
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ーム。
「水は、出る……お湯にも変わるわ」
古びているにしては人の触れた形跡のないハンドルを廻しながら、
ヘッドから放出される湯気の立つ水流を少女は手に確かめる。
無論今日の入浴は(一番で)済んでいるので、
敵地にて無防備状態を晒け出す愚をシャナは犯さず
ハンドルを元に戻して部屋を出た。
「――チッ」
再び頭上から、奇怪な声が今度ははっきりと耳元に届いた。
「――ッ!」
膝下まで届く長い髪が、風もないのに空間に靡き灼熱の緋を灯す。
漆黒の双眸が瞬時に燃え上がり、烈火の真紅へと変貌する。
同時に躰を包み込む漆黒の外套と共にその内側から抜き出される戦慄の大太刀。
“天壌の劫火” アラストールのフレイムヘイズ
“炎髪灼眼の討ち手” が執る無欠の戦闘態勢。
全身から発せられる炎の闘気が、周囲の闇を一斉に吹き飛ばした。
(どこだ……どこにいる……?)
屋内で “長物” は役に立たないが、
そこは経験と技術でカバーするという自負の許
少女は己の戦闘神経を極限まで研ぎ澄せた。
気配は、確かに感じる。
辺りに充満する “殺気らしきモノ” も。
眼に映る風景は先刻までと何も変わっていないが、
全身を嘗め回すように見つめる何者かが絶対にいる。
(でも……何か変……)
流れる空気すら感じ取れる程に研ぎ澄まされた少女の神経が捉えた、一抹の異和感。
(間近でこっちの様子を伺ってるにしては、
気配が淡いっていうか、壁一枚越しに見てるみたい)
そう想い注意深く視線を這わせるが、
鉄製の壁に覗き穴らしきものは発見出来ず
換気用のダクトに潜んでいる様子もない(それなら音がするはずだ)
(いっそのコト、焔儀でこの周囲一体を吹き飛ばしてやろうか?
“合図” の代わりにもなるし)
想うよりも速く、独特の形に折り曲げられた右掌中に
紅蓮の炎気を集束させる少女の背後で、
ゴドンッ!
重く硬質な何かが落下した音がした。
予期せぬ驚愕に吐く息すら呑み込んで少女が視線を向けた、先。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……ッッッッ!!!!
どこかで見た鉄製の錠前が無造作に転がっていた。
(な、なんでここに……ッ!?)
吐き出さる呼気と共に不条理な疑念が脳幹を劈いた瞬間、
側面から強烈な衝撃を受けた。
「UUUUUUUUUUUUUUUUKYAAAAAAAAAAAAAAAAA
HYYYYYYYYAAAAAAAAAAA――――――――――――!!!!!!!!!!」
無機質な鋼板に押し倒された視線の先に、
ブリッジの檻の中にいたはずの猿が唾液に塗れた歯を剥き出しにして
己に
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