第6部 贖罪の炎宝石
第3章 病
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だのガラクタだとしか思っておらんかった。悪いがわからん」
「そうか」
ウルキオラは短く返した。
車のボンネットに手を添える。
すると、左手に刻まれたルーンが光る。
その瞬間、車の情報がウルキオラの頭の中に流れ込んでくる。
三菱 ランサーエボリューション\ MR GH−CT9A。
エンジンは、直列4気筒DOHC16バルブICターボ。
最高出力、280馬力。
最高速度、260km/h
どうやら、リミッターは解除されているようであった。
それ以外はすべて純正と言った感じであった。
だが、どうにも腑に落ちない。
ゼロ戦といい、この車といい、なぜか俺にちなんだ名称をしている。
ウルキオラは考察した。
しかし、その考察が無意味だと判断する。
「ねえ、これ中に入れるみたいだけど……」
ルイズが車の中を覗き込むようにして見ていた。
「当たり前だ」
ウルキオラは運転席側の扉を開く。
そんなウルキオラの行動を、6人は興味津々に見つめていた。
先ほど触れたおかげで、この車の全てを理解した。
ガソリンも結構残っているようであった。
かけられていた固定化の魔法を打ち消し、車全体に霊膜をはる。
律儀なことに、イグニッションキーはささったままであった。
それを右に向けて奥まで回しこむ。
バッテリーの呻くような音と共に、エンジンが始動した。
いくらノーマルとはいえ、スポーツタイプであるランサーエボリューション\は、爆音の如き排気音を吐き出した。
それを聞いた6人は驚きのあまり口を開く。
「な、なんだ!これは!」
公爵が思わず声を漏らす。
「ゼロ戦と同じような音を発しましたわね」
シエスタがウルキオラの乗る運転席に顔をのぞかせた。
ウルキオラはエンジンが始動したのを確認し、エンジンを切った。
「おや、音が収まりましたわ」
カトレアが呟く。
ウルキオラは運転席から身を乗り出すと、公爵に向かって口を開いた。
「貰うぞ」
「かまわん。もとよりそのつもりだ」
ウルキオラはもう一度ランエボに触れた。
また元の世界のものを手に入れることができた。
しかし、手がかりは特になかった。
また、コルベール辺りに騒がれるだけだな、と思った。
外では鳥のさえずりが、朝日の訪れを告げていた。
ランエボのあるボロ屋を引き返した後、皆はそれぞれの場所で夜を迎えた。
それから、今日も同じようにダイニングルームで朝食が執り行われていた。
基本的には、誰も口を開かずに朝食に手を伸ばしていた。
そんな静寂の中、カリーヌがその手を止めた。
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