第6部 贖罪の炎宝石
第3章 病
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善意で治療をしたわけではない。ルイズが治せと言ったからやっただけだ」
「だが、カトレアが治ったのは事実。褒美を取らせなければならんな」
公爵はそう言って、顎を撫でながらウルキオラを見つめた。
「どうだ?カトレアを嫁にもらわんか?」
公爵の言葉に、カリーヌも乗ってくる。
「それは良い考えですね」
カトレアは、「まあっ!」とまたもや微笑しながら驚いていた。
これを聞いて、ルイズが黙っているわけはない。
「ちょっと!父様!母様!ウルキオラは平民ですわ!それに、私の使い魔……」
しかし、最後まで言わせてはもらえなかった。
「私が直々に国に願い出れば、ウルキオラを貴族にすることはたやすい。それに、カトレアとウルキオラが結婚したところで、お主の使い魔としての責務が果たせぬことはなかろう?」
「で、でも……」
ルイズは焦っていた。
このままではまずい。
非常にまずい、と。
しかし、ルイズが打開策を考えている間に、ウルキオラが口を開いた。
「断る」
場が静まり返る。
「理由を聞かせてくれんかね?」
「聞かねばわからんか?」
ウルキオラと公爵の目が交差する。
しばらくすると、公爵が大きく笑った。
「いやいや、すまんすまん。ちょっとした戯れだ」
「戯れにしては、明白な言及だったな」
ウルキオラはルイズを見た。
プルプルと震えている。
早とちりをしてしまったとでも考えているのだろう。
しかし、ウルキオラは思った。
今回の件に関しては、ルイズの考えが正しかった。
「では、お礼の品を考えなくてはなりませんわね」
カリーヌがなにかないものかと、試行錯誤した。
「あれはどうですか?母様。あの倉庫にある……」
エレオノールが呟く。
「ああ、なるほど。もしかしたら、ウルキオラさんなら使えるかもしれませんわね」
それを聞いたウルキオラが、食事の手を止めた。
「どういう意味だ」
「深い意味などありませぬ。ただ、我がヴァリエール家に長きに渡りある、いわゆる骨董品というものです」
「ほう?」
ウルキオラは少し興味が出た。
それを見ていた公爵が、これだとばかりに話を進める。
「ならば、この晩餐会が終わり次第、向かうとしよう」
そこへルイズが口を挟んでくる。
「しかし、お父様。あれはただの……」
「ルイズ、お主は心配せんでいいのだ」
ルイズは心の中で、ムスッとした。
まあ、顔にも出ているのだが…。
あんな鉄の塊などもらってもうれしいはずがないわ、とルイズは思っていた。
さて、深夜にも関わらず、中庭には7人の人影があ
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