第三十五話 詰所での再会その九
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「そうした学校だから」
「天理教を勉強する為の学校ですね」
「そうなの」
普通の学業以外にです。
「そこはしっかりしてるから」
「だからなんですね」
「そうした子も多いのよ」
「かえって僕みたいな県内で何も知らないで入ってる子の方が」
「少ないでしょ」
「そうみたいですね」
「教校学園なんかはね」
天理高校とは別にある天理教の学校です。
「あの学校なんかはもっとね」
「県外の天理教の教会の子供ばかりですね」
「そうよ、あそこは完全に全寮制だしね」
「そうですよね」
「そうした学校なの」
「あっちは確か海外布教も考えた」
「よく知ってるわね」
ここまで知ってるんだと内心少し驚きました。
「それはまた」
「はい、前にここで聞きました」
「詰所で?」
「天理教のそうした布教の状況とかも」
「そうだったの」
「入学式の時に聞きまして」
それからという口調での言葉でした。
「興味を持ってなんです」
「聞いたのね」
「はい、詳しく」
「自分で勉強するなんてね」
本当に驚くことでした。
「阿波野君意外と勉強家?」
「いやあ、褒めてくれるなんて嬉しいですね」
「そんなことはしないわよ」
すぐに調子に乗る子です、つくづくそう思いました。
「全く、そこでそう言うのね」
「駄目ですか」
「駄目よ、調子に乗るのは駄目よ」
私はまた阿波野君に注意しました。
「そういうことをしてると頭ぶつけるわよ」
「おみちのうえで、ですね」
「そうなるわよ」
こうも注意しました。
「いい加減だし」
「これでも真面目にしてるつもりですよ」
「何処がよ」
カレーを食べながらむっとした顔になって注意しました。
「阿波野君みたいないい加減な子そうはいないわよ」
「そんなにですか」
「そうよ、わかったらね」
「頭をぶつけたくなかったらですね」
「もっと真面目にしなさい」
勿論調子に乗らないで、です。
「いいわね」
「もっともっと真面目にですか」
「そうよ、わかったわね」
「わかりました、じゃあ先輩に色々教えてもらいながら」
「どうしてそこで私が出るの?」
何か余計に怒ってきました、りっぷくです。
「訳わからないけれど」
「だって同じ高校で同じ大教会の先輩じゃないですか」
「それが縁っていうのね」
「はい、出会いってことで」
「そう言われるとね」
私もちょっと言えませんでした、おみちの教えで人と人の出会いは親神様のおひきよせと言われているからです。
「その通りだけれど」
「じゃあそういうことで」
「全く、どうしてこんな子がいて」
そして、と思いました。
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