第三百六十八話
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第三百六十八話 ラストは五百
真剣な顔でだ、小田切君はウェイトレスさんに注文した。
「五百のビーフを」
「あの、お客様」
真剣な顔でだ、ウェイトレスさんは小田切君に答えた。
「残されるとその分です」
「お金がですね」
「別料金を頂きますが」
「わかってます」
やはり確かな顔で答えた。
「そのことは」
「そのうえで、ですか」
「はい」
表情は変わらない。
「お願いします」
「そうですか、では」
「それとワインもお願いします」
ワインもだった。
「ボトルで」
「そちらも残されますと」
「わかっています」
やはりこう答えた、真剣な面持ちも変わらない。
「このことは」
「そうですか」
「はい、五百グラムのビーフステーキと」
「赤ワインボトル一本ですね」
「それをお願いします」
「わかりました」
ウェイトレスさんも小田切君の決意を見て頷いた、だが実は内心ではステーキもワインも残すと思っていた。
そのうえで答えてだ、そして。
小田切君はすぐに来たオニオンソースをかけたステーキに挑んだ、ワインも来たがコルクが抜かれている。
それを飲みつつだ、挑み。
腹が一杯になるのを感じつつだ、必死に食べ。
遂に皿を空にした、そしてワインも飲み干した。そうして傍を通りかがったそのウェイトレスさんに対して言った。
「食べましたし飲みました」
「それはまた」
「やりました」
完食、完飲したというのだ。
「あとデザート頂きます」
「デザートもバイキングのコーナーです」
「わかりました」
食べ過ぎ飲み過ぎた、だが。
小田切君はデザートのアイスクリームとケーキも食べた、そのうえでカウンターで勘定を払ってお店の人に言った。
「美味しかったです」
「最後に」
カウンターにいたのはそのウェイトレスさんだった、小田切君に対して驚きを隠せない顔で言ってきた。
「お見事です」
「やりました」
小田切君も満足している顔だった、それは成し遂げた男の顔だった。
第三百六十八話 完
2016・8・11
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