243部分:第三十四話 氷と毒その三
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第三十四話 氷と毒その三
「馬鹿な、私の霧が動いていないだと」
「そうです。最初の位置から全く動いていませんね」
アフロディーテが言うのはこのことだった。
「こういうことです」
「くっ、では貴様の薔薇の毒と私の霧の毒は」
「そうです。相殺されています」
今度はかなり具体的に述べてみせてきた。
「ですから進まないのです。全く」
「まさか私の毒が相殺されるとは」
ここでミシェイルの顔が苦々しげに歪んだ。
「ピスケスの薔薇の毒、そこまでの威力があるというのか」
「私も今薔薇を出せるだけ出していますが」
確かにアフロディーテの周りの薔薇の多さは尋常ではない。最早その霞によりアフロディーテ自身の姿が見えなくなってしまっている程である。
「それでも貴方を攻めきれないとは」
「毒と毒は互角だというのか」
「さあ。どうされますか」
アフロディーテはその薔薇の霞の中でまた問うてきた。
「このまま勝負を続けられますか?それとも」
「毒が互角ならばだ」
しかしここでミシェイルは言うのだった。
「それはいい」
「といいますと」
「むん!」
言葉を一閃させた。すると毒が一斉に散った。そうしてそれにより毒の霧も薔薇も消え去ってしまった。何とその毒を周囲に吹き散らさせてアフロディーテの薔薇も相殺してしまったのだ。
「これでな」
「毒の勝負はもう終わりというわけですね」
「そうだ。だが案ずることはない」
ミシェイルは毒の霧の中から己の姿を現わしつつまたアフロディーテに述べた。
「私は毒だけを使うのではないのだからな」
「氷ですか」
「そうだ、氷だ」
それだと言うのだった。
「私は氷においても魔神で随一の使い手だ」
「この湖を凍らせたように」
「こんなものは何でもない」
平然と言い切ってきた。
「何でもな」
「そうですか。貴方にとってはですか」
「黄金聖闘士にもいたな」
ミシェイルはここでアフロディーテ以外の黄金聖闘士についても言及してきたのだった。
「氷を自在に操る聖闘士がな」
「カミュのことですか」
当然ながらそれはアフロディーテにもすぐにわかることだった。
「それは」
「そうだ。アクエリアスだ」
やはり彼のことであった。
「私の氷はあの男以上だ」
「カミュを侮っては大変なことになりますよ」
アフロディーテはミシェイルのその自信に対して言葉を加えるのだった。
「カミュの氷に勝てる者はいません」
「ほう、仲間を庇うわけではないな」
「カミュは庇われる程弱くはありません」
だからだと言うのだった。
「貴方達を倒すにあたってもです」
「そうか。アクエリアスもまたそれだけの力があるのだな」
「そうです。貴方に遅れを取るようなことはありません」
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