第31話『守る者』
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特には。強いて言えば疲れました…」
「この様子じゃ、ずっとアンタを助ける為に奔走してたみたいよ。良かったわね、部長」
「あぁ助かった…」
希望の光が差した瞬間だった。
俺1人では何もできないが、3人も揃えば文殊のなんたらである。
これなら作戦の幅が広がる…!
「おい辻、聞け! 実はだな──」
「やっぱりあんたね、茜原。理科室の真ん中にデカい像なんか用意して・・・何のつもり?」
「像とは心外。これはロボットよ。戦闘用のね」
「戦闘用? 随分物騒ね。こんなもん斬ってやる!」
「ちょ──」
俺の言葉を無視してそう言った辻は、剣を構える。
・・・っておい、ちょっと待て。流石にその展開はダメだ。それを壊したら…
「はぁっ!」
「「っ!!」」
斜めに切断されたロボットは、音を立てて崩れ落ちる。俺が静止の声を出すよりも早く、辻は入口から一瞬のスピードでロボットに這い寄り、斬ったのだ。
そのロボットの惨状を見て驚くのは俺と光。
光の表情が、消えたのを感じた。
「ん? 戦闘用の割には、簡単に斬れるのね。欠陥品じゃない」
「辻、もう止めろ!」
「……」
図らずも光を刺激する発言をした辻。
俺は慌てて制すも、“時すでに遅し”だろう。
辻は俺の言葉の意味がわからないのか、俺を振り返る。
その背後から、辻の首もとに伸びる2本の腕を、俺は見た。
「ぐっ…」
腕は辻の首を捉え、絞め上げ始めた。
元々体格が屈強とは程遠い辻だ、逃れられる訳がない。
俺は助けるべく、一歩を踏み出した。
「辻!」
「邪魔」
「がっ!」
が、しかし、光の回し蹴りによってそれは阻まれる。
壁へと容赦なくぶつかり、僅かに口から空気が吐き出された。
その様子を見た光は、自分よりも小柄な辻の首を軽々持ち上げ、不敵に笑った。
「残念ね。あとちょっと」
「お、おい光。そんな事言わずに勘弁してくれよ? そいつだって悪気はなかったんだから」
「悪気がない、か。でも私が侮辱されたのは事実。あんただってこの女とはよく喧嘩してるし、この辺で痛い目に遭ってもらうのは好都合でしょ? 大丈夫よ、殺しはしないから、さ!」
「──っ!!」
光はさらに辻の首を絞める。声にならない叫びを上げ、苦しむ辻。
必死にもがき、首を絞める手を放そうとしている。
遠慮のない絞首は、このままでは危険。
だから、その光景を黙って見てるほど俺の趣味は悪くないし、好都合だとも思わないのだ。
辻は・・・仲間。
大した関係ではない。魔術部の部長と副部長。それだけだ。
でも、仲間とは呼べる存在
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