機動戦艦ナデシコ
1466話
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た。
月臣は特に何かを考えているような様子ではなく、ユリカはまだ元気のないテンカワを励ましている。そして今回の件のある意味張本人とでも呼ぶべきイネスは、自分の過去の事など全く気にした様子も見せず、興味深げに俺達の基地を見回していた。
まぁ、昔はどうあれ、今のイネスはイネス・フレサンジュという確固とした自我を持っている。
それを考えれば、今回の件はそこまでショックな出来事ではないんだろう。
そんなイネスを見ていて、ふと思い出す事がある。
「そう言えば、あの金属のカードは何だったんだ?」
「ああ、これ?」
俺の言葉にそう告げ、白衣のポケットからアイちゃんが持っていた金属のカードを取り出す。
古代火星文明を築いた者達から貰ったのだから、資料としては超の付く一級品だろう。
だが、イネスは全く気にした様子もなく、金属のカードを俺の方へと放り投げてくる。
落としたらどうするんだ? といった疑問もあるが、こうして見る限りだとそこまで気にする必要はないのか?
ともあれ、受け取った金属のカードを良く見る。
……そこに書かれているのは、俺にはちょっと読めない文字。
こう見えて、色々な言語を喋ったり、聞いたり、書いたり、読んだり出来るんだが……そんな俺にとっても、全く訳の分からない文字っぽいものがそこにはある。
まぁ、俺が分かると言ってもそれは英語とかドイツ語とか中国語とかそういうのだ。
古代火星文明の文字やら何やらを理解出来る筈もない。
ただ、そんな俺でも分かる事があった。それは……
「この金属、多分この世界特有の物質だろうな」
そういう事。
「そうなの? 私にもちょっと見せて貰ってもいい?」
「ええ」
イネスの許可を貰い、マリューが俺の方に近づいてくる。
マリューはPS装甲の開発者であり、当然金属とかにも強い。
実際ニーズヘッグに使われているT-LINKフレームを作る際にはマリューも大きな戦力となったのだから。
……まぁ、T-LINKフレームはニーズヘッグに使われたので既に完成してしまった感があるので、そこから更に進歩はしていないが。
それでもマリューは地道に装甲金属についての研究を進めているらしい。
「そう、ね。確かにこの金属は初めて見る金属よ。出来れば研究したいところだけど……」
チラリとイネスの方を見るマリューだったが、さすがにイネスも今だけであればともかく、本格的に俺達にその金属のカードを渡すような気はないらしい。
首を横に振って、マリューの提案を却下する。
「ごめんなさい。そのカードの解析は私がやるつもりなのよ」
「あら、そうなの?」
「ええ」
マリューの方も興味深くはあっても、そこまで強行に自分で研究をしたいという訳
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