第百十六話
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の効力を読み上げながら、それ以上のことが言いにくそうに声を出す。それを早く、などと促すことはなくユウキたちは聞いていると、アスナは遂に核心を口にした。
「もう少しで解散するってことは分かってる。だけど……私を、スリーピング・ナイツに入れてくれないかな?」
「――もちろん! アスナなら大歓迎だよ!」
待ってました、と言わんばかりにユウキはメニューを操作すると、アスナの前にメニューが表示される。それはもちろん、ギルド《スリーピング・ナイツ》の入団申請であり、いきなりな展開にアスナは驚きを隠せなかった。
「頼んでおいてなんだけど……いいの?」
「うん。ボクたちみんなで名前、刻みたいもんね」
「こっちから言い出そうか、って悩んでたんですよ」
ユウキにシウネーの後押しを受けて、アスナは苦笑しながらもその申請を了承する。簡素なシステムメッセージが表示されるだけだが、アスナは嬉しそうに笑みを深めた。そして回復を終えたスリーピング・ナイツのメンバーたちは、すぐそこに見えるボス部屋の扉を臨んでいた。
「行こう、ユウキ!」
「うん! じゃあ……頑張ってねセブン! ――レインも!」
それだけ言い残して、ユウキは――スリーピング・ナイツはフロアボスが待つ部屋にひた走っていく。それを最後まで見送ると、セブンはレインがいる方向に振り向いた。そちらにはショウキにルクスもおり、戦いはもうほとんど終わりを告げていた。
「守ってくれて、ありがと」
最終的には包囲されてしまったとはいえ、ユウキたちが来るまで守ってくれたことにお礼を言うと、何故かレインは脅えたように後退りする。あまりセブンに目を合わせたくないのか、キョロキョロと違う場所を見てうろたえていて、まだどこか逃げる場所を探しているようだった。
「あんなに守ってくれて……もしかして、さ」
もしかして――とは言ったものの、セブンはもう確信していた。なりふり構わずに助けに入る際に、レインが叫んでいた名前は『セブン』ではなく『七色』で。このVR空間であそこまで取り乱せるのは、良くも悪くも二年間ほどVR空間を現実として過ごしていた、SAO生還者しかいない。
「SAOに行ったって聞いて……凄い心配して……帰って来たとは聞いたけど、そこから連絡が途切れて……」
何より、セブンに告げられたある言葉が、レインが自身の姉であることを証明していた。今よりも幼い時に、ずっと聞いていたその言葉は、セブンの――七色の脳に刻まれているのだから。
「大丈夫、大丈夫……って。お姉ちゃんなんでしょ……?」
遂にセブンの口から溢れ出していた、これ以上なく核心をついた問いに、レインはピクリと身体を震わせた。そのまま足をゆっくりと後ろに動かし――がっしり
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