第百十六話
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地響きが鳴りだした。もちろんこの浮遊城に地震などはなく、モンスターの反応はないが、それを疑って《索敵》スキルを使ったプレイヤーキラーの一人が見たものは。
「お、おい逃げ――」
その警告が、それ以上発せられることはなかった。何故なら、その前に警告の対象が形となって、プレイヤーキラーたちの目の前に現れていたからだ。
「――みんな……」
セブンは信じられないようなものを見たように、プレイヤーキラーたちを更に囲む集団の姿を見た。このダンジョンの入口でお互いに戦っていた筈の、シャムロック本隊とキリトやショウキたち――その総勢はプレイヤーキラーたちの数を優に越えていて、それぞれ武器を構えていた。
「よくもセブンちゃんの邪魔してくれたなゴルァ! やっちまえ!」
「手加減なんかいらないわよ!」
クラインとリズの号令によって、プレイヤーキラーたちを袋叩きにせんと集まった妖精たちが一斉に攻撃を開始する。もはや魔法を消滅させる指輪など何のアドバンテージにもならず、人質のように捕縛されていたシャムロックのメンバーも、隙をついて続々と解放されていく。質と量、どちらの優位も失った上に、得意の不意打ちですらないプレイヤーキラーたちは、もはや敵にすらなっていなかった。中には破れかぶれになって、セブンに攻撃を仕掛けようとしていた者もいたが、そんな程度の敵にスリーピング・ナイツが苦戦する訳もなく。
勝敗は明らかではあったものの、一時的に乱戦に持ち込まれていく光景を見て、セブンにレインはポカンと口を開けていた。
「セブン、レイン。大丈夫かい?」
「……酷いな、これは」
そして乱戦を抜けて、レインたちの下にルクスとショウキが駆け寄ってきた。ショウキは眼下に広がる殲滅戦の光景に冷や汗を流しながらも、素早くレインたちの負傷具合を確認する。
「わたしは……守ってもらったから大丈夫だったけど。ショウキくん、これは……?」
ショウキたちとシャムロックの本隊は、このダンジョンの入口で戦っているのではなかったか――というセブンの質問。それには共に来ていたルクスが、答えにくそうだったものの、苦笑しながら答えていた。
「私の友達が……その、あのPK集団の元リーダーで。さっき、この襲撃計画をメールで知らせてくれたんだ」
どうせならもっと早く――とボヤくショウキをたしなめながらも、困ったように、しかし嬉しそうにルクスは笑って。あのPK集団のリーダーだった、ルクスの浮遊城時代の友人こと《グウェン》の姿はその集団の中にはいなかった。
「だから、友達のおかげで助けに来れたんだ。友達を」
「友、達……」
一時は自身を捕まえて囮に使おうとした人物にもかかわらず、彼女を友人と言い切れるルクスの言葉に、セブンは
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