帰郷-リターンマイカントゥリー-part1/ルイズ連れ戻される
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ルマニアのような成り上がり共と同じように平民のくせに貴族の位を手にするなど、気に入らない相手だ。
あまりの尊大なエレオノールの言い方に、アニエスは心底カチンと来た。確かに自分は元々平民出身だ。だが、アンリエッタは身分に関係なく自分を片腕として登用してくれた大人物。そんな彼女が、周囲の貴族の反対を押し切って自分を抜擢してくれたのだ。エレオノールの言い方は、自分が忠誠を誓う女王への侮辱にも聞こえ、アニエスにとってムカつき要素以外の何でもなかった。
(そういう貴様ら貴族とて、権力に胡坐をかいてはそのような傲慢な物言いばかりの馬鹿者共ではないか…!)
口には出さなかったが、貴族も貴族だとアニエスはエレオノールを睨みつける。そんな彼女の視線を異に返さずに、エレオノールは言う。
「そもそも勝手はどっちかしら?いくら女王陛下と言えど、あまりうちの妹を好き放題使い走らないでほしいわね」
「お姉さま!姫様は私を…」
「お黙りちびルイズ!あなたの言い訳は家に帰ってからよ!ほら、そこの平民二人、あなたたちも召使としてついてきなさい!」
まるでアンリエッタが自分を酷使しているように聞こえたルイズは聞き捨てならないと抗議しようとしたが、エレオノールはルイズの話にも一行に耳を貸さず、いつぞやルイズがサイトにしたように、彼女のほほを引っ張って引きずり出す。さらには矛先をサイトとハルナにも向け、強引に二人をレビテーションの魔法で浮かせて無理やり運び出したではないか。
「い、いひゃい!いひゃいですよお姉ざま〜!!」
「え、ちょっと!!?」
「わ、私も!?」
動揺する二人も、ルイズの泣き言も無視し、エレオノールはそのまま用意していた二大の馬車のうち、豪勢な方の馬車に自分とルイズを、簡素な方の馬車にはサイトとハルナ、そして持参してきた荷物を詰め込んでそのまま行ってしまった。
嵐のように去っていったエレオノールたちに、ギーシュたちはもはや呆然とするしかなかった。
「はは、さすがはルイズのお姉さんだ。強引だね」
ジュリオは逆にそれを見て、エレオノールを引き止めることもなく面白げに笑っているだけだった。
「あぁ…僕、ああいう人に踏まれて命令されたくなった…」
…エレオノールが去っていった後で、マリコルヌがうっとりしながらそんなしょうもないことを言っていたのは余談である。
「…うちの部隊は、ろくでなしばかりだ」
さらに、レイナールがギーシュとマリコルヌの人物像から照らし合わせて、今のUFZにはまともじゃない奴が目立っていることを痛感したという。
しかしこれを見逃すわけに行かない。今のルイズは女王直属の女官。勝手な真似は、たとえ王室と遠い親戚に当たるヴァリエール公爵家でもやっていいことではない。アニエスはすぐにこのことをアンリエッタに伝えに向かったのであった。
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