帰郷-リターンマイカントゥリー-part1/ルイズ連れ戻される
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なんでもなさそうに言うが、サイトにはどうしてもいつも通りに見えない。
一方でハルナはご機嫌だった。ウェザリーから鞄を返してもらったし、昨日はサイトと素敵(決して危ない意味はないぞ)な一時を過ごしたことが強く影響した。
「ねぇねぇ平賀君、これ見覚えある?」
ハルナは鞄から一冊の本を取り出す。
「ん?…ああ、学校の教科書か!うわぁ、久しぶりに見たから懐かしいな」
彼女がサイトに見せたのは、地球にいた頃に自分たちが高校で使っていた教科書だ。長く見てなかったから、まるで小学生時代のそれを押し入れの奥から見つけたような、そんな懐かしい気持ちが高まった。
そんな光景が、ルイズには面白くなかった。昨日は舞台で、サイトと自分で主役を飾ったというのに、自分たちにはそれらしいあとのやり取りというものがなかった。しかも自分の知らないところで、本来はノエル王女役を勤めるはずだったハルナと、二人だけのお芝居をやっていたしかもハルナは、芝居の台詞に乗せてサイトに、どう考えても告白のようにしか聞こえない言葉を告げていた。しかも、サイトはそれを受け入れたかのような返答をしたではないか。その事が、ルイズの中に強いモヤモヤを産み出していた。
(わかっていたことなのに…)
彼が故郷に戻るのは当然のことだとわかっていたことなのに、納得できない自分を感じている。
そんなサイトたちを見て、ギーシュたちはやれやれとため息を漏らし出した。
「やれやれ、ルイズも苦労してるみたいね」
そう言ったのはモンモランシー。同じ女同士だしルイズは分かりやすい性格、彼女の気持ちについては察しがついている。…
「おいおい。まさか、ルイズの奴…自分の使い魔にあそこまで?」
レイナールはルイズとは深く関わったことがなく、サイトのこともギーシュが認めた平民であるという印象くらいだが、それでもあの公爵家の出である彼女が、平民の使い魔に恋をしているだなんて驚かされてしまう。
「くっそお…アイツいいなぁ」
マリコルヌはむしろモテモテのサイトを羨んでいた。モテたいという願望とは裏腹に見た目が全くモテそうにないものに育ったことがコンプレックスな彼にとって、今のサイトは妬みと羨みの対象である。ルイズをゼロのルイズと揶揄していたわりに現金なものだ。
しかもサイトは、今まさに三角関係が始まっていることに気づいていない。ちなみにデルフは無言のまま三人の様子を静観、ゼロも特に何も言わないことにした。
だが一方で、この男は茶化してきた。
「おや、どうしたんだいルイズ。サイト君からも言われたと思うけど、ずいぶん暗い顔になっちゃってるね」
「ひゃ!?」
ふと、急にルイズは後ろからジュリオに離しかけられ思わずびっくりしてしまう。
「い、いきなり話しかけないでよ!」
振り返ったルイズは顔を赤らめながらジュリオに文句
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