第二章
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だから安全だった、しかし。
家のすぐ近くの公演の前を歩いている時にだ、不意に。
何か得体の知れない聞いたことのない様な鳴き声を聞いた、何とも寂しげなそれでいて実に気味の悪い鳴き声だった。
「?」
瑠璃はその声を聞いてだ、公園の方を見た。だが夕暮れなので子供達も帰り誰もいなくなったジャングルジムや滑り台、ブランコがあるだけだ。
それで気のせいかと思い家に帰った、家に帰ると祖母が笑顔で迎えてくれた。
この日はこれで終わりだった、だが。
夕暮れ、下校中に公園の前を通るといつもだった、不気味な鳴き声が聞こえた。それが一週間程続いてだ。
家のちゃぶ台で祖母の秀代と食べている時に話した、真っ白になった髪の毛を短くしていて痩せた顔に眼鏡をかけている彼女に。
「最近何かおかしいの」
「痴漢?」
心配性の祖母は孫にすぐにこう言ってきた。
「スタンガン持ちなさい、あと警棒とか」
「そういうのじゃないの」
「あら、違うの」
「うん、何かね」
晩御飯のおかずのコロッケと祖母が作ってくれたサラダと味噌汁に箸をやりつつ話した、左手にはお椀がある。
「学校から帰る時に公園の前を通ったらね」
「お家の近くの?」
「最近いつも変な鳴き声が聞こえるの」
祖母にこのことを話した。
「寂しげな、それで気味の悪い」
「寂しい感じで」
「気味の悪い」
「それは鳥が鳴く感じ?」
祖母は自分のお皿の上のコロッケ、ソースをかけたそれに箸をやりつつ孫に尋ねた。
「ひょっとして」
「そういえばそうかしら」
瑠璃は祖母の問いにこう返した。
「言われてみれば」
「鳥はいた?」
「ううん、夕暮れだからよく見えないけれど」
それでもとだ、瑠璃は幼い頃は自分もよく遊んだその公園のことを思い出しながらそのうえで祖母に答えた。
「いなかったと思うわ」
「そうなのね」
「私目には自信あるし」
両方共二・○だ。だから弓道も優れているのだろうか。
「夜目も効くけれど」
「公園に鳥はいなかったのね」
「夜のね」
「公園の何処にもなのね」
「入口から見た限りだと」
「そうなのね、わかったわ」
ここまで聞いてだ、秀代は孫娘に言った。
「その鳴き声の正体が」
「お祖母ちゃんにはわかったの?」
「そう、その鳴き声が嫌なら」
どうしてもそうならというのだ。
「瑠璃ちゃんいつも弓持ってるでしょ」
「ええ、部活で使うしお家で手入れもするし」
実際に打たないがシャドーボクシングの要領で家で射る練習もしている。
「だからね」
「じゃあその弓を公園の前で鳴らすのよ」
「そうすればいいの」
「そうしたら鳴き声はなくなるわ」
「そうなのね」
「若しなくなったらまたお祖母ちゃんに言いなさい」
孫娘に素直な
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