187話 都に潜む者達
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い」
董卓は劉協に同じことを繰り返した。すると劉協は口を開いた。
「朕が許さないと言ったらどうするつもりか? 兄上のように帝位を引きずり降ろすか? それとも兄上を盾に私を脅迫するか?」
劉協は固い声で董卓に言った。彼女からは感情の起伏を感じさせなかった。
「そのような真似は決していたしません!」
「董仲穎、好きにするがいい。朕は籠の鳥。元より自由など無い。失せろ」
劉協は董卓に吐き捨てるように言った。董卓は何も言わず劉協に頭を下げ拱手しとぼとぼと去っていった。
劉協は思った。
(私から唯一の友を奪った貴様達を呪うことしかできない。これが皇帝だと? 笑わせるな! 力が無いことが、これ程に惨めとはな)
劉協は悔しそうに唇を歯がみし右手を握りしめていた。
「正宗、お前は私を恨んでいるであろうな」
劉協は両目に涙を溜め乾いた声で呟いた。彼女は膝を折り泣いていた。
「私は一人ぼっちじゃ」
(父上は何かあれば正宗を頼れと言われた。頼れる訳がない。裏切った私を正宗が許してくれる訳がない)
劉協は悲嘆していた。正宗が劉協を助け出す算段をしていることを劉協が知る由も無かった。
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