187話 都に潜む者達
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よ、真悠は董卓を害したいと考えていることに違いはないだろう。
「よしんば董仲穎に罪がないとしたら、董仲穎は部下も満足に使えない阿呆ということよ。そんな奴を保護する価値があるのかしら」
真悠は凪を不服そうに見た。凪は真悠に同調するつもりは一切ないようだった。真悠の話を聞きながら困った表情を浮かべていたが意を決したように口を開いた。
「正宗様の命令に背かれるおつもりですか?」
凪は厳しい表情で真悠を睨んだ。
「背く? そんことはしないわ。私は兄上のためを思っているだけ。董仲穎など保護しても百害あって一利なし。でも、義兄上が保護しろというなら従うわ」
真悠は口を一文字に固く締め自分に言い聞かせるように言った。その様子を見て凪は安堵し警戒を解いた。
「真悠さん、不満があるかもしれませんが正宗様から受けた任務を全うしましょう」
凪が真悠に声をかけると真悠は頷き返した。
「ええ。お互い頑張りましょう。じゃあ、私達はもう帰るわ」
真悠は凪にそう言い、その場を去っていった。王克と真悠の部下達は凪に黙礼をして真悠の後を追っていった。
「真悠さんは納得してくれたようだな。正宗様の杞憂に終わったな」
凪は安堵している様子だった。正宗から真悠の件で内命を受けているのだろう。彼女の側にいる水蓮は真悠達が去った方向を凝視していた。
「取りあえずは大丈夫だと思います。でも真悠さんは董仲穎の保護に一物あるようですから気に止めておいた方がいいと思います。弘農王が董仲穎の屋敷に軟禁されている可能性を口にしていたことが気がかりです」
真悠に対して安心しきっている凪に水蓮は口を挟んできた。水蓮は弘農王の件を理由に自分達の任務に干渉してくると思っているのだろう。
「仲間をあまり疑り過ぎてもどうかと思うぞ」
凪は水蓮の主張に反発した。
「凪さん、今回の任務はかなり荒事になるはずです。私達は味方に存在を気取られたら不味いんです。注意し過ぎて問題になることはないです」
凪は水蓮に諭され、彼女の考えに一利あると思い頷いていた。
「水蓮さん、そうだな。正宗様から受けた大任を全うするためにも心を引き締める必要がある」
凪はそう言い両手の拳を握りしめ自らを鼓舞していた。
凪と水蓮が会話をしている頃、真悠は自分達の隠れへ向かっていた。王克は急ぎ足で真悠の右横後ろに進みでた。
「真悠様、何故あの様なことを仰たのですか? わざわざ揚羽様が機会をお与えくださったのですぞ。余計な疑いを買うような真似はお控えください」
王克が真悠に声をかけた。
「あの位言っても問題ない。私は何も意見を言ってはいけないというのか?」
真悠は王克の物言いに怒りを覚
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