187話 都に潜む者達
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詰め寄った。真悠は落ちついた様子で凪を見る。真悠にとっては退位した劉弁のことなどどうでもよいのだろう。
「弘農王は皇帝陛下を抑える人質で董仲穎側にとっては生命線と言っていい。それは無いと思いたいわね」
真悠は思案気な素振りで淡々と語った。
「内偵を進めていますが董仲穎の屋敷内を全て調べた訳ではありません。警備の厳重な屋敷内の区画があり、そこに董仲穎がいると考えていましたが、弘農王も一緒であると見ていいかもしれませんね」
「顔を合わせているとは思えないけど。そう考えた方がしっくりとくるわね」
真悠は凪の考えに同調していた。
「私の報告は終わり。凪の方はどうなの?」
「董仲穎と思われる者が輿に乗って宮中に足繁く通っています。ですが董仲穎の顔は未だ確認できていません。屋敷から出歩く時は必ず輿を使用し、屋敷内でも顔を布で隠しています」
凪は報告しながら肩を落としていた。彼女の役目は正宗が都を陥落させた時、董卓を保護することである。このまま董卓の顔を確認できないと役目を全うできない可能性があり責任を感じているようだった。
「そんなものよ。そうそう簡単に董仲穎が姿を現せば、百官達の中に董仲穎の顔を見知った者達は多いはず。董仲穎の顔を知る者はかなり少ない。皇帝陛下の取り巻きの宦官が粛正されたらしいから、そいつらは董仲穎の顔を知っていたかもしれない。現状、このまま監視を続けるしかない」
「そうですね。ことが起こるまで粘り強く監視を続けます」
真悠は凪との連絡を終えると話題を変えてきた。
「ところで。董仲穎のことをどう思う?」
真悠は凪を探るような目で見ていた。凪も彼女の様子に少し警戒の表情を浮かべるも口を開いた。
「どういう意味でしょうか?」
「義兄上が董仲穎を保護するつもりなことよ」
真悠は笑みを浮かべ凪に言った。しかし、真悠の目は少しも笑っていなかった。
「私は正宗様のご命令に従うまでです」
凪は即答した。主君の命に忠実な凪らしい発言だった。しかし、真悠は興味なさそうに素っ気なく「そう」と短く答えた。
「義兄上は皇帝陛下にどう取り繕うのかしら。義兄上と皇帝陛下の関係は聞いているわ。友を殺せなんて命令させられた相手を皇帝陛下は許すことができるかしら。私が同じ立場なら八つ裂きにしても足らないわ」
「それは賈文和の独断によるものと聞いています」
凪は真悠が董卓に良い感情を抱いていないことを理解した。
「董仲穎も同罪よ。ことが終わった後、董仲穎は賈文和を処断していない。賈文和の行為を追認したということになる。挙げ句に三公の職を董仲穎側の人間で独占した。これで罪がないなんていえない」
凪は真悠の主張に反論できずにいた。真悠の腹づもりが何処にあるせ
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