239部分:第三十三話 白薔薇その五
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
第三十三話 白薔薇その五
「棘もあります。そして」
「そして?」
「何なのだ?」
「白薔薇は染まるもの」
こうも言うのである。
「今それを見せましょう」
「むう・・・・・・」
「では何を」
「白薔薇を染める」
ミシェイルもまたその言葉を聞いていた。そうしてそのうえで考え込むのだった。
「どういうことだ」
白薔薇とアフロディーテをここで重ね合わせた。
まずはその紅薔薇だ。彼の象徴とも言ってもいい。
「紅か」
このイメージは鮮烈だった。今も氷の上にその紅薔薇があり続けている。その毒は彼の毒により抑えている。それもまたわかっていることだった。
しかしだった。その紅はそれだけではないと察しもした。そう、白から紅をイメージしたのだ。
「白を紅に染めるには」
ミシェイルはさらに考えていく。
「それに必要なのは」
ここで答えが出た。するとその瞬間にミシェイルは顔の色を変え。五人に対して言うのだった。
「いかん!」
「いかん!?」
「ミシェイル様、どうされたのですか?」
「その薔薇は受けるな」
何とか声の色を冷静なものに戻してまた五人に告げた。
「いいな、絶対にだ」
「絶対に?」
「何故ですか?」
「言いはした。受けるな」
それでも表情は強張り警戒するものであり続けていた。
「わかったな、絶対にだ」
「一体何を」
「この白薔薇に一体何が」
「では。お見せしましょう」
アフロディーテはその白薔薇を己の顔の前で掲げてきた。そうしてそのうえで目の光を強くさせる。
「我が白薔薇の技」
「むっ!?」
「来た!?」
「ブラッディローズ!」
技の名前を叫ぶと同時にその白薔薇を放った。すると薔薇は忽ちのうちに一つから五つになりそれぞれ五人に向かった。五人はその薔薇を見て一斉に技を放った。
「ミシェイル様の御言葉。どういう意味かわからぬ。だが」
「それでもだ!」
拳を放ちそれで薔薇を砕かんとした。
「その薔薇。間違いなく剣呑なもの!」
「ならばここで散らしてくれる!」
「無駄です」72
だがアフロディーテはこう彼等に告げるのだった。
「このブラッディローズ放たれたなら」
「何だというのだ?」
「かわすことはできません」
こう言うのだった。
「そして散らすことも」
「馬鹿なそんなことが」
「そんなことは有り得ない」
彼等はそれを否定しようとする。
「薔薇が散らないなどと」
「そんなことが」
「では。現実に見てみるのです」
アフロディーテの言葉は変わらないのだった。
「私のブラッディローズを」
「くっ、無理か!」
ミシェイルがここでまた叫んだ。
「最早。これであの者達は・・・・・・」
呻いたその時だった。五人の胸にその白
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ