第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#1
STRENGTH 〜The Cyclops〜
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ぁジョースターさん、オレのソテーはまだかい?
前のはもう骨まで喰っちまったぜ」
「おまえらなぁ〜。
シャナは兎も角、少しは手伝ったらどうじゃ」
三者三様の追加注文に、エプロン姿のジョセフ (妙に似合う) は
フライパンの上で卵を器用に返しながら苦言を呈した。
無用な犠牲者を出さない為、今この船にはジョセフ一行しか乗っておらず
航行はハイテクコンピューターによる自動操縦になっているが、
その他の日常生活は当然自分達で行わなければならない。
掃除や洗濯、風呂炊き等は巧く役割分担を決めたのだが、
この 「料理当番」 だけは何故かジョセフの専門役職となってしまった。
曰く。
承太郎→出来るがやりたくねぇ。
シャナ→料理って、温めたりお湯注ぐだけじゃないんだ。
ポルナレフ→オレが腕を振るうのは麗しい淑女だけだぜぇ〜。
だそうである。
「いつもすまんのぉ〜、花京院」
老齢の紳士は調理の片手間に隣で手伝う中性的な美男子に言う。
「いいえ、料理は好きですから」
花京院は慣れた手つきで生野菜を刻みながら、嫌味のない笑顔を返す。
高校に入った当初から一人暮らしをしている為か、
その腕前はかなりのものだった。
「……」
何となく、将来この子と結婚する女性は幸せ者じゃなと
自分の孫を見るような視線を花京院に送っていたジョセフの耳元に、
「ジジイ」
「ジョセフ」
「ジョースターさん」
テーブルにつくクルーからの追加注文が届いた。
【3】
彼方の水平線へ融け込むように沈んでいく、大海原の夕焼け。
船首部でその闃寂なる斜陽に翳る事なく、
真紅の瞳と深紅の髪を巍然と示す一人の少女。
触れたら切れる程に鋭く張り詰めた視線の先、
広げた右掌中に無数の火の粉が条と成って集束していく。
やがてソレは一つの形容を執りその姿を顕す。
『KUUU、WAAAAAAAA』
手の中で生まれた炎の “鳥人” が、
その大きさに見合わぬ凛然とした声で高らかに鳴いた。
まるで、生み出した少女の分身であるかのように。
「よしッ!」
以前のように気勢を荒げず、その存在を生み出せた事に少女は会心を謳う。
そこに。
「なかなか、順調のようだな」
勇壮な青年の声が静かに到来した。
「どうしたの?」
「イヤ、チョイと夕陽を眺めに、かな」
黄昏にピアスを煌めかせながら欄干に凭れる青年に、
なんだ自分に逢いに来たんじゃないのかと少女は淡い嘆息を漏らす。
「用がないなら邪魔しないでくれる。せっかく集中してるんだから」
「あぁ、しばらくしたら消えるよ。まぁ気にすんな」
棘のあるシャナの言葉に、承太郎は海原を見据えながら鷹揚に返した。
手の平
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