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STARDUST唐eLAMEHAZE
第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#1
STRENGTH 〜The Cyclops〜
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エネルギーの流れが潤滑に行われるからである。
 一つの戦いを終え、次なる戦いに備えてあらゆる状況を想定し
対応しようとする洞察力と成長性。
 その妥協無き姿勢をストイックに貫く無頼の貴公子は、
双肩にかかる労苦を厭うコトも無くスタンドと共に手を招く。
(この、バケモノ……ッ!)
 言葉は悪いが波間に屹立する青年への称賛半分嫉妬半分の心情で、
少女は背の双翼から火を噴きながら真下へと急襲を掛ける。
 その手には身の丈に匹敵する大刀が握られ、
煌めく白刃の切っ先は標的から微塵もブレる事のない刺突を形成している。
(――ッッ!!)
 己の肩口目掛けて頭上から直進してくる切っ先を、
二対の瞳で凝視する青年。
 定石通りに処するならばバックステップで追撃圏内より距離を取るか、
可能な限り引き付けて避け死角の位置に回り込む、
否、ソレ以前に徒手で武器を持った者と戦うべきではない。
 しかし無頼の貴公子の取った行動は何れのモノでもない。
 敢えて回避を捨て去り、迎え撃つという選択。
 無数の鉄鋲が穿たれたブラスナックルの甲側で大刀の(しのぎ) を軋らせながら逸らし、
突貫の勢いを殺しながら少女の己の内側へと向かい入れる。
 一つタイミングを間違えれば、左腕切断か肩部貫通という被虐を迎えかねない暴挙。
 しかし、勝機とは危険値(リスク)と等価交換で手にするモノ。
 逃げる事に固執すれば一度や二度はなんとか凌げるかも知れないが、
最終的には抜き差し成らない状況に追い詰められてしまう。
 勝つには、生き残るには、そして何かを護るには、
痛みや傷を覚悟しても結局は前に出るしかない。
 中途半端に決断を先送りにする者、
優遊不断に己自身すら背負えない者に
勝利の女神は決して微笑まない。
「こ、この、離せッ!」
 突貫の勢いを殺され結果的に相手の懐へと飛び込むだけとなってしまった
炎髪の少女は、黒衣の襟元を掴むスタンドの右手を外そうと身を(よじ)る。
 頼みの大太刀は、逸らされると同時に腕を絡ませつつ掴まれた
肘外側の拘束で満足に動かせない。
「フッ、いいのか? 離しても。なら」
 至近距離での膠着も僅かに、青年が笑みを強くした刹那。
「想う存分、そうさせて貰うぜ……!」
「――ッッ!?」
 瞬間、少女の視界が360°開け、更にその風景が高速で攪拌された。
 相手の身体の一部を掴んだ状態で、足裏を起点に伝わるスタンドの瞬発力で
螺旋の軌道を描き上方へと投擲、重力と遠心力に拠って威力を増大させながら
受け身も執らさず地表へと叩きつける荒技。
 燐纏旋昇。荒天の槌撃。
 流星の流法(モード)
流 星 群 漣 綸(スター・スパイラル)廻流(カイル)
流法者名−空条 承太郎

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