第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#1
STRENGTH 〜The Cyclops〜
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だけが、
これはこれでといった表情で興味深そうにこちらを見つめている。
「……」
そう言えば妙に肌寒いなと想い少女が視線を下に向けた瞬間。
「――ッッ!!」
全身が真っ赤に燃え上がり頬は疎か耳の先まで朱に染まった。
着の身着のままで飛び出してきた今の自分の恰好は、
薄地のキャミソールとショーツのみという極めて無防備に近い状態。
戦闘向きではないとかいう以前にソレとは全く別の感情のまま、
少女は羞恥に伴う憤懣を 『一番ブツけ易い対象に』 叩きつけた。
「見るなァァァッッ!!」
「ぐおおぉぉぉッッ!?」
ルーズなタンクトップにショートパンツ姿のポルナレフが、
胸元を覆いながら神速で放たれたアッパーをモロに喰らって甲板の上にKOされる。
それを背後で聞きながら寝る時も学ランのままだった無頼の貴公子が
「やれやれだぜ……」
苦虫を500匹噛み潰したように口元を軋らせた。
それから数十分後、戦闘準備を整え巨大タンカーに乗り込んだ
ジョセフ達一行から離れる事数十キロの位置。
漆黒の海原に波飛沫を上げて疾走する、一隻のモータークルーザーがあった。
側面に 『SPW』 の文字。
船首部に立つ一名以外に乗組員はおらず
メーターを振り切る程の猛スピードで目的の場所へと爆走する。
「あそこに、 “アノ方” が……」
「確認」
纏ったレインコートで表情の伺えない人物から、
無感情な若い女性の声とソレ以上に無機質な声が同時にあがった。
巨大とはいえこの距離では砂粒ほどにしか知覚出来ない、
それも夜霧で霞んでいる存在をその女性は明確に認識した。
「いま……お側に……」
「逸散」
情動の淡い言葉に万感の想いを込め、
その女性は纏ったレインコートを背後に脱ぎ去る。
その中から姿を現したのは、
藤色の丈長ワンピースにエプロン、
白のヘッドドレスという一見してメイドと判る優麗な淑女。
先刻からの彼女に合わせる無機質な声は、
蕭やかな躑 躅 色の髪を飾る
そのヘッドドレスから発せられていた。
そして、仄かにルージュの引かれた清楚な口唇から、
彼女の存在を足らしめる真名が凛然と奏でられる。
「フレイムヘイズ “万 条の仕 手” ヴィルヘルミナ・カルメル」
「 “夢 幻の冠 帯” ティアマトー」
契約する者とされる者、両者の声が漆黒の闇を切り裂く。
「推して参るのであります……!」
「出陣」
←TOBE CONTINUED…
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