第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#1
STRENGTH 〜The Cyclops〜
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ポルナレフは少女の奇妙な行動に瞳を瞬かせたが、
特に気に止めた様子もなく承太郎の傍に立った。
「おまえギター弾けるんだろぉ〜?
なら暇潰しにセッションしようぜセッション。
ジョースターさんも花京院も、晩飯の用意で忙しいみたいだからよぉ〜」
どことなく間延びした声でポルナレフは弾く真似をしながら
無頼の貴公子の肩に腕を乗せた。
承太郎の方も別段イヤな顔はせず普通に返す。
「別に構わねーが、オレフランスの曲あんましらねーぜ」
こう見えても父親は世界的なジャズ・ミュージシャン、
幼き頃から (母親を喜ばせる為) の弛まぬ習練により、
弾けるモノよりは弾けない楽器の方が少ない。
「Non、Non、大丈夫、大丈夫。
プログレでもオルタナでもオレ結構イケるから。
ンじゃ承太郎借りてくぜ、シャナ」
良いとも言っていないのにその陽気なフランス人は、
承太郎の肩を抱きながらブリッジの方向へと連れ去ってしまった。
「……」
後に残されたシャナは自在法で生み出した鳥人を
肩に乗せたまま背後の夕陽を睨む。
そして。
「もう! バカッッ!!」
自分でも意味不明の怒りを罪無き太陽に叫ぶと同時に、
(よくやった。白銀の騎士よ)
胸元のアラストールが正反対の称賛を送った。
忙しないながらも賑やかな夕食の後、
船内のリビングルームで、甲板のバスケットコートで、
艦橋にある遊戯場でひとしきり騒いだ後、
一行はたゆたう波音に抱かれながら眠りについた。
旅は順調と言っても体調管理を万全に保つのは言う間でもなく、
来るべき戦いの為に緊張感を弛ませないのは全員に共通した心構え。
航行はSPW財団が誇る最新鋭のコンピューターが行っているので
進路を誤るコトはなく、仮に他の船舶が航路上に現れても信号を送りつつ
自動で避けるはずだ。
日本を離れて、はや10日。
良くも悪くも人間は環境に適応する生物なので、
このような非日常の旅に慣れつつあった一行に
『その衝撃』 はまさに闇夜の霹靂だった。
ズッッッッッッッガアアアアアアアアァァァァァッッッッッッッッ!!!!!!!!
巨大な船体スベテを劈く大轟音。
それぞれに宛われた個室で5人は同時に眼を醒まし、
内2人がベッドから転がり落ちた。
即座に開く3つのドア、遅れて2つ、中から弾丸の如く飛び出した影が
大轟音の発生源へと言葉を交じわせる事もなく疾走する。
船内全域に響き渡る耳障りな警報アラーム。
コンクリートの甲板に大きな亀裂が走り、
その精密構造から海上では抜群の安定感を誇った足場が
グラグラと揺れていた。
やがて船首部で急停止した3人の、遅れて2人
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