第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#1
STRENGTH 〜The Cyclops〜
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【1】
天空からの陽光を煌めかせる大海原を、風を背に受ける全装帆船が進んでいく。
陸上で聴くのとはまた違う緩やかな且つ壮大な波音。
渡る海鳥の羽ばたきが間近で響き、鳴き声の残響と共に白い澪が後に曳かれる。
その普遍に広がる青海の只中で、
「はあああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――――――――――――――――――――――!!!!!!!!!!!!!!」
「オラオラオラオラオラオラオラアアアアアアアアアアアアア
アアアアァァァァァァァ――――――――――――!!!!!!!!!!!!!」
凛々しい少女の喊声と勇壮な青年の叫声が轟いた。
全長を100メートルを越える巨大な帆船を円周上に取り囲むように、
二つの影が眼にも止まらぬスピードで何度も交錯する。
その度に深紅の火の粉と白金の燐光が空間に弾け、
一方が押せばもう一方はソレ以上の勢いで押し返すといった
一撃必倒、蹉跌必滅の危うい拮抗の許、双影は何度もブツかり合う。
幾度も不自然に立ち昇る奇妙な水柱を目の当たりにしながら、
船の欄干に凭れる男が言った。
「まったく、飽きもせずよくやるねぇ〜。あの二人はよぉ〜」
鷹揚な声でそう漏らす男の瞳は海原に引けを取らず青く、
その銀色の髪は空に向けて雄々しく梳き上がっている。
「香港を出航してもう5日。
今のところはDIOの追っ手もなく旅は順調ですから
力を持て余してるんでしょう。
何しろ日本を出てから戦いの連続でしたからね」
少し離れた位置、備え付けのガーデンチェアーで文庫本のページを捲る
中性的な美男子が穏やかな声で応えた。
「お〜い、二人共もう少し遠くでやってくれんかぁ〜?
魚が逃げてしまうのでなぁ〜」
銀髪と茶髪の青年とは反対側の位置で、
釣り糸を垂らした老人の間延びした声が流れる。
ソレに呼応するように、高速で激突していた二つの影が一瞬止まり
申し合わせたように西側へと移動していった。
「しかし、正直スゲェな。あの空条 承太郎って男はよ。
まだ 『スタンド能力』 に目醒めて一ヶ月かそこらなんだろ?
それなのにあそこまで自在にスタンドを使いこなすとは」
先刻までのやや軽薄な雰囲気が一転、
入念に研磨されたサーベルの切っ先のような視線でその男、
J・P・ポルナレフは闘気を裡に秘めた感慨を漏らす。
「極限の才能、日々の弛まぬ研鑽もあるでしょうが、
一番の理由は彼が “背負っているモノ” の重さでしょう。
何をどうしたって負けられない、死んですいませんでは済まない戦いですから」
不承ながら彼の理解者だと自負しているその美男子、
花京院 典明がポルナレフの傍に立って言った。
「DIOの 「呪縛」 に拠って、死の淵に瀕しているという母親
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