第十五話 衰える身体その十二
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「お会いしたかったのですが」
「そうですね、だからですね」
「私も常にお話したかったのですが」
「それは出来ませんでしたね」
「そのことも残念に思っています」
無念の顔での言葉だった。
「実に」
「そうですか、ですが」
「はい、これでですね」
「マリー様はマイラ様とお話が出来ます」
「そうなりましたね」
「嬉しいことです」
ここでようたく微笑んだマリーだった。
だがその彼女にだ、今度はロドネイ公が後ろから言ってきた。
「マリー様、それでなのですが」
「はい」
「お会いすることはいいですが」
「それでもですね」
「マイラ様はそうした方ではないですが」
「暗殺ですね」
「それにはお気をつけ下さい」
くれぐれもというのだ。
「常に」
「王国の動きはいつも見ていましょう」
外交、諜報を得意とするデューダー卿も言う。
「彼等がマイラ様に近付くと」
「厄介ですね」
「そうです、ですから」
「既にそうなっていてもおかしくない、いえ」
「マイラ様はたぶらかされる方ではないです」
そうした暗愚な人物ではないのだ、人を見抜く目も備えているのだ。ただその心を閉ざしているだけなのだ。
「しかし周りに潜んでいてです」
「これを機にですね」
「毒を盛ることも考えられます」
「この王宮にも王国の者は潜んでいるでしょう」
グラッドストン大司教も言ってきた。
「かなり追い出しましたが」
「疑わしい者は」
「しかし王国は謀略を得手としています」
「それで、ですね」
「まだ王宮に息を潜めている者がいるかも知れません」
大司教もこう言うのだった。
「ですから」
「姉様とお会いする時はですね」
「お会いする時に何かを飲まれたり召し上がられるなら」
「それを機に」
「マリー様、マイラ様のお命を狙ってくるかも知れません」
大司教もこう考えているのだった、それで己の主に言うのだ。
「ですから」
「刺客には注意してですね」
「現にマリー様の周りはいつも我々が固めています」
またキャスリング卿が言ってきた。
「毒見役も置き料理人も選んでいますね」
「厳重に、ですね」
「しています、やはりです」
「王国には気をつけないとなりませんか」
「あの国には、あとです」
「他にも気をつけねばなりませんか」
「太子にもです」
キャスリング卿はマイラの夫である彼女の名前も出した。
「あの方についても」
「ロートリンゲン家ですね」
「あの家と婚姻を結んだ国では王位継承者が次々と死にます」
「そのことですが」
デューダー卿もマリーに再び言う。
「どうもです」
「毒を、ですか」
「半島からカンタレラを貰い受けたとも言われています」
「教皇庁で使われていた」
「はい、教皇庁
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ