点と線
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漆黒の世界に僕はいる。夢の中のように一人で男の生涯を劇場として見ているのでなく、ちゃんと現実で目を開いている人間、僕も含めて三人と一緒にいる。内一人は戦闘中で、一人は完全に応援モードだ。
情けない、僕の心情はそれに尽きた。ついていくだの譲れないだのと強く出るだけ出て、いざ目の当たりにしたらしたでこの体たらく。イリヤスフィールはイリヤスフィールで夢心地ではあるが僕のように恐怖に捕らわれることなく逃げ出さずに自分のやれることを暗中模索で努力をしている。だというのに、僕は何をしているのだろう。
沸いてしまった恐怖が泥になってこびりついてしまっている。僕は汚れるのが恐ろしくてたまらずにそれを拭えずにいるのだ。そうしてそれを直視せずに、こうして自己嫌悪ばかりを繰り返している。
わかってはいるのだ、このままではいけない。イリヤスフィールの足を引っ張るだけの存在など許されてはいけないのだと。だけどやはり僕は、未だ拭えずにいる。
人として普通だと言われれば、それまでかもしれない。僕は安心して、それに浸かれるだろう。だけど、そうなってしまえばもう上がることはもうできない。ずっと浸かったままで、見るものを見ずに生きていくことになる。大切なことも、全部忘れて。
そこまで分かっていながら、僕は動けない。
「恐怖は人を駄目にするわ」
今までイリヤスフィールへのアドバイスに専念していた彼女が、僕へと意識を向けて言葉を投げ掛けてきた。
「人の起源は恐怖だと人は言うけれど、それだけじゃないわ。だって恐怖だけじゃ人はすぐに駄目になってしまうもの。恐怖だけじゃないから、人は今日まで生き残ってこれた」
遠坂凛が膝を曲げて僕に視線を合わせた。その表情は、ステッキやトラブルに振り回されていた時のようなものではなく、ただ一つの先を見据えた、僕に忘れかけていた何かを沸かせるような目をしていた。
「だから、怖がったっていい。止まっちゃってもいい。でも、膝だけはついてはダメよ。屈したら、その先ずっと負け組よ。そうなったら、悲惨って言葉じゃすまないわ」
それはどこか、愚かな誰か反面教師にして語っているような、何か大切な思いが込められたような言葉で語られていた。
彼女の目はどこまでも前を見据えていた。腐っているわけじゃない、落ちた反動からでもない。ただただ純粋にその高潔さだけで先を見つめていた。そんな姿に、僕は感化されたのか、それとも僕自身思ったより能天気だったのか。目の前の恐怖よりも、もっと先のことを見つめたくなっていた。
「ほら、よく言うじゃない。良い未来は、良い殺る気からって」
「……今、大分イントネーションが違った気がするんだけど」
「そんな口が叩けるなら、もう大丈夫ね」
彼女はどこまで高潔でいて、
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