機動戦艦ナデシコ
1464話
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ちゃん? とにかく、そんな事よりもこっちのアイちゃんをどうにかする事は出来ないんすか?」
眠っている、小さい方のアイちゃんを見ながらテンカワが尋ねる。
基本的には大人しいテンカワだったが、時々感情が爆発するような事がある。……だが、今それをしないのは自分の腕の中で眠っているアイちゃんを起こしたくないからだろう。
それだけテンカワにとってアイちゃんというのは大事なんだろうが、ユリカが不満そうな表情を浮かべてお前を見ているぞ。
そんな風に思いながらイネスの返事を待っていたのだが、期待を込めたテンカワの視線に、イネスは首を横に振るだけしか出来ない。
「無理ね。その子が過去に戻るのは、古代火星文明の人達が……ボソンジャンプを作り上げた人達がそうするようにしたの。私達ではどうする事も出来ないわ」
「そんなっ!」
自分の事……正確には過去の自分の事であるにも関わらず、あっさりとそう告げるイネスにテンカワは思わず叫びそうになり……チャリン、と。何かの音が周囲に響く。
音がした方へとここにいる皆が視線を向けると、そこにあったのは金属のカード。
「……そう言えばそんな物も貰ってたわね」
呟く声が聞こえたのは、イネスから。
「この金属のカードは?」
「古代火星文明の人達から貰った物よ。……それより、時間ね」
イネスが呟くと、次の瞬間にはアイちゃんの身体が光り始める。
本人は眠っているので全く気が付いていないが……
「アイちゃん、アイちゃん!」
叫ぶテンカワだったが、その身体を包む光は徐々に強くなっていき……やがて俺達の前からその姿は消え去る。
「アイちゃん、アイちゃーんっ!」
遺跡の中には、テンカワの慟哭の声のみが響き渡るのだった。
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