ep.016 『カフェ・ポジ・イタリアン』
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こんな人物であることを知っているので何も気にしないだろう。
何より、叶世だからとしか言いようがない。そんなこと気にも止めていなさそうである。
トイレから出ると、下根は皆に一言「仕事すんよ。」とだけ言った後、自分の座っていた席に置かれていたカップの底にあったコーヒーを飲み干した。
「じゃあ、今から一度巡回するから。各自担当の区の状況を確認の後、またここに集合で。」
解散。7人がそれぞれの担当する区に行く。
コーヒーのカップを置いた御臼が言う。
「あれ。いつまで私たちこうしているんですかね。」
地上、第4学区。夢絶達が地下で奮闘することになっているであろう最中である。地上は一度の巡回を終え、また最初のイタリアンに戻りさらに一服していた。
下根に限ってはコーヒーに加えて、パスタまで頼んでいる。
時間で言えば、2時間ぐらいだろう。地上での各地区の巡回、と言ってもしっかりとしたものではなく風紀委員や警備員の使用している監視カメラを職務上とは言え半ば盗み見しているような気分になるものだが。
とりあえずそのような方法にはなってしまうのだが各区の状況確認を済ませた後、今回の重要任務である第4学区のこのイタリアンでの待機が続いているのである。はっきりと言ってしまってこのままここで一日過ごすという可能性さえ出てきてしまうほど退屈だ。
ガシャンッ!
「どっか行きたい。」
水無月姉が言う。
テーブルに頭を打ち付けた後、テーブルを口につけたまま言う。
他のメンバーはそれに反応するのが遅れる。気が遠くなっていたのだ。こんな事、あまり起きないことだし良く起きられても困るのだが、こんなことで気が遠くなるのも考え物である。
万が一というものがあるのだ。まあ、一介の学生として集められたこの面子にそこまでプロフェッショナルな事を要求されても困るといったものだ。
揺れ。地震がした。それでも路上を歩く人たちは揺れを感じる事はない程度のもの。
カップの中のコーヒーが中心を軸にいくつもの輪を大小させている。その程度。
店の人も気になったようで辺りを見回しているが、十秒ほど何も起こらないかを確認した後作業に戻る。
やはり来た時からずっと下拵えをして
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