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嫌われの忌み子あれば拾われる鬼子あり
第1章 第1話 拾われた鬼子
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「76…77…78…」

刻々とそして淡々と数えられる数字、そしてそれを驚愕と憎悪と恐怖の表情で見る1体のニンゲン。

「覚悟は出来たか?」

低く小さく、しかしとても耳に響く声で告げたその言葉に慈悲はない。
答えを待たずしてそのニンゲンを殺した。

「………79」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「ぐっ……ぃっ……ゃっ……ぐぅ……ぇぐ…」

「この鬼風情が!!よくも!のこのこと来れたものだな!!」

「鬼が!!消えろ!!死ね!!」

「よくも!!よくも!!」

「ぐぁ…げほ……ぅ……」

怒りのこもった言葉が次々と浴びせらる、慈悲のない暴力が次々と襲う、泣こうが喚こうが止むこの無いこの集団による暴力。
ならばここは耐えるしかないのだ。それでこの人たちの恨みが少しでも和らぐのならそれで……

「(あぁ…鬼はいつもこうなるんだ…)」

しばらくの間あの暴力に耐えた頃ようやく終わった。全身は打撲痕で覆われ、裂傷も無数にあり、骨も折れてるし、内蔵もやられただろう。
しかし、それでも立ち上がりその場を離れ村から出ようとした。その間も石やゴミを投げられる。やっとのことで村を出た時には

「2度と来るな!!!消えちまえ!!!鬼なんか消えちまえ!!!」

と、背中に受けて出ていった。

「僕が……何をしたというのだろうか」

村から離れた所にある小道の木に寄りかかりポツリとこぼした僕の本音。

大部分ではわかっている。大昔から鬼の一族が何をして何を思われているかは。だが、それはホントの大昔だ、少し前からは鬼は何も危害は加えていない、むしろ近くの村には誰にも気づかれることなく奉仕していた。しかし今はほとんどの鬼が殺された。

大国の兵士による猛攻でほぼ全域の鬼の集落や村、果てはただの洞窟に住んでいた一族までもが殺された。そんな中の例外が僕だ。知り合いを殺され、友達を殺され、祖父母を殺され、親を殺され、兄を殺された僕は自害しようとした。あいつらに殺されるくらいなら自分で死ぬ、などと考えてた。しかし、死ななかった。気がつくと冷たい石畳と石で積み上げられた壁に囲まれ鉄の扉で閉じられた牢獄だった。

「おや?君はこんな所で何をしているのかな?」

ふと、頭の上から声が聞こえた。少し間が抜けたような声だった。顔を上げると見た目30歳手前という感じの男が立っていた。ピシッとした礼服を身にまとい良く手入れをされているのだろう少し長めの金髪が風に靡く。
これが貴族という人達何だろう。

「休んでいただけです」

嘘は言っていない。

「こんなところでかい?」

「こんなところしかないので」

「何か訳ありかな?」

「見てわからないんですか?
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