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おぢばにおかえり
第三十五話 詰所での再会その八

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「丁度」
「だから知ってるのね」
「はい、そうです」
「それでその日もね」
 私からも言いました。
「天理教では大事な日なの」
「キリスト教のクリスマスですね」
「仏教でもお釈迦様の生まれた日は大事でしょ」
「そういうことですね」
「どの宗教でもそうした日は大事よ」
 教祖の人の誕生日はです。
「この三つの日が大事なの」
「お誕生日と立教の日とですね」
「うつしみを隠された日はね」
 この三つの日だとです、私は言いました。
「大事な日よ」
「わかりました、ただ」
「ただって?」
「いえ、立教の日とうつしみを隠された日は二十六日ですよね」
 阿波野君は私に聞いてきました、私達は席に向かい合って座りました。前から見ると背の高さがy系に目立ちます。
「それでお誕生日が十八日ですか」
「そうよ」
「その日だけ違うんですね」
「それはね」
「何も理由ないですよね」
「そうした刻限だったんじゃないかしら」
 私は少し返答に窮しながら答えました。
「それは」
「お誕生日だけ十八日なのか」
「そう、天理教の祭典は確かに二十六日が多いわ」
 毎月の月次祭にしてもです。
「けれど十八日はね」
「四月の」
「親神様のお考えあってじゃないかしら」
「それで十八日ですか」
「そうじゃないかしらね」
 自分でもわかっていないというかあやふやだっとわかりながら言いました。
「私もそこまで勉強が至っていないけれど」
「その辺りも気になりますね」
「というか気になるって」
 私達はここでいただきますをしました。
 そしてです、阿波野君にこう返しました。
「凄いわね」
「僕凄いですか、いやあそれ程でも」
「自慢しなかったら凄いわ」
 カレーのスプーンを取りながら冷めた目で今度は私が言葉を返しました。
「本当にね」
「そこでも凄いって言ってくれたら」
「言わないわよ、とにかくね」
「とにかくなんですね」
「そうよ、そこを考えられるって」
 ちょっと、でした。
「阿波野君おみちにかなり興味あるのね」
「最初は違ったんですよ」
「入学した時は?」
「はい、何か入学したら」
 その時にというのです。
「周り教会とか布教所の家の子とか天理中学から上がった子多くて」
「そうでしょうね、この学校は」
 私もこう返しました、カレーを食べながら。
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