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真田十勇士
巻ノ五十八 付け城その九

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 昌幸は行く先々の城に様々な噂を流し北陸勢の主力が行く先はほぼ戦うことなく開城させていっていた、その状況を見てだ。
 利家は奥村を連れ景勝と兼続にこう言った。
「流石は武田家きっての智将と呼ばれた方」
「確かに」
 景勝はその利家に彼特有の短い声で応えた。
「まさに戦うことなく」
「城を明け渡させていますな」
「あえて行く先々に話を流し敵の戦意を削ぎ開城させる」
 兼続も言う。
「お見事ですな」
「そもそもこの度の戦は兵の数が違いまする」
 奥村も言う。
「北条はその時点で負けていました」
「やはり兵は多いに限る」
 利家はその奥村にも言った。
「やはりな」
「左様ですな」
「戦にも有利に立つしな」
「その兵を見てですな」
「それだけで敵は怖気つく」
「それを利用して」
 さらにとだ、奥村は言った。
「真田殿は戦えば負けると言われていますな」
「敵にな」
「そして降れば助かるとなれば」
「それだけで戦う者は減る、しかし」
 ここでだ、利家はこうも言った。
「真田殿は既に読まれていると思うが」
「はい、そのことですな」
「北条家の士気が元からな」
「あまり高くないですな」
「どうも多くの者は戦をしたくなかったらしいな」
「関白様とは」
「最早天下は定まっておる」
 利家は青い、織田家のそれをそのまま受け継いでいる青い具足と陣羽織の己の軍勢を見つつさらに言った。共にいる上杉の軍勢は黒だ。
「それを北条の者達も既にな」
「肌ではですな」
「感じておるな」
「そうですな」
「それで最初からじゃな」
「北条家の戦意は低いですな」
「その様じゃな、しかしどうもな」
 さらに言う利家だった。
「近頃特にじゃ」
「士気が落ちていますな」
「どの城もすぐに降る」
 昌幸の策があるにしてもというのだ。
「どうもな」
「ですな、戦意は落ちる一方です」
「小田原城に付け城が築かれています」
 兼続は利家と奥村、そして景勝にこのことを言った。
「そのうえで城を完全に囲んでいますので」
「それでじゃな」
「はい、北条家は負けるとです」
「多くの者が思いはじめておるか」
「それ故にかと」
 兼続jは景勝に述べ利家主従にも話した。
「北条家の士気は落ちています」
「そうか、ではな」
「この戦が終わるのは早いか」
 利家も言う。
「それでは」
「そうではないかと」 
 兼続は利家にも答えた。
「やはり」
「そうか、北条家も長く強い力を持っていたが」
「これで終わりですな」
 奥村も言う。
「そしてその後は」
「伊達じゃな」
「はい、そうなりますな」
 奥村は利家の言葉にも答えた。
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