228部分:第三十一話 武漢にてその五
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第三十一話 武漢にてその五
「彼等の相手をな」
「十人を一度に相手にすることも可能ですが」
「案外強情だな」
サガはあくまで自分一人で闘おうとするアフロディーテを前にして思わず苦笑いを浮かべた。
「外見に似合わずな」
「外見。それだけではありません」
彼の言葉は変わらない。
「私が求めるものは」
「求めるものか」
「その通りです。今それを確かに見せましょう」
アフロディーテの小宇宙がこれまでになく高まってきた。
「貴方に対して」
「ピスケス。貴様の心は見た」
ここでミシェイルが彼等の間に入るように言ってきた。
「それはな。しかしこちらにも作戦がある」
「作戦ですか」
「そうだ。いいか」
彼はここで周りにいる九人の狂闘士達を一瞥してからまた述べた。
「五人はピスケスに向かえ」
「はい」
「それでは」
彼等はそれぞれミシェイルの言葉に対して頷く。そしてそのうえでアフロディーテを見る。見ながらその目は次第に鋭さを増してきていた。
「そして四人はだ」
「私にか」
「そうだ。ジェミニよ」
ミシェイルは今度はサガに対して言うのだった。
「貴様もまたここで死んでもらう」
「アフロディーテよ。聞いたな」
サガは彼の言葉を聞いてからそのうえでアフロディーテに対して告げた。
「私もまた相手に選ばれた」
「仕方ありませんね」
彼はその言葉を残念そうに受けた。しかしそれは確かに残念さはあっても受け入れるものだった。相反するものは同時に備わっている言葉だった。
「それでは貴方に四人でしたね」
「任せてもらおう」
「それでは私は」
小宇宙がさらに高まっている。
「貴方達を倒します」
「ピスケス、相手にとって不足はない」
「貴様を倒しその首をアーレス様の玉座の前に献上してみせよう」
「ミシェイル様」
彼等はアフロディーテを激しい殺意と敵意に満ちた目で見据えながらもミシェイルに対しても告げるのだった。
「まずは我等にお任せを」
「宜しいでしょうか」
「行くがいい」
そしてミシェイルはそれを認めるのだった。
「私も行くより勝利は確実なものになるだろうからな」
「はい、我々が若し敗れたとしても」
「ピスケスの技は確かになります」
これもまた彼等の狙いであるのだ。
「ですからここはです」
「まずは我等が」
「では行くのだ」
ミシェイルはまた彼等に命じた。
「そして闘え。貴様等の力の限りな」
「有り難き御言葉。それでは」
「我等の力、思う存分ここで」
「ピスケスよ。そういうことだ」
まずは五人、アフロディーテの前に出て来るのだった。
「最初は我等が相手だ。そして貴様にとって最後の相手だ」
「最後ですか」
「その通り。この我等の手で」
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