11話目 成長(前)
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岩場の高台の上にいるミニリュウと、高台の下の影に入ったチョロネコ。いつ接近戦が始まってもおかしくない状況であった。
「よし行け! チョロネコ“みだれひっかき”」
「ミニリュウ“アイアンテール”じゃ」
グレイの指示を合図に、チョロネコが一気に跳んで高台に降り立ち、接近戦が開始された。
相手のミニリュウの“アイアンテール”を、チョロネコは“みだれひっかき”で威力を抑える。威力を減らした相手の“アイアンテール”がチョロネコに当たるが、チョロネコも“みだれひっかき”の連撃を続ける。
接近戦を展開する中、相手の“アイアンテール”がチョロネコに直撃して押し出され、両者に距離が開いた。
「“りゅうのはどう”じゃ!」
「やべえ! 逃げろチョロネコ!」
距離が開いた一瞬に、ミニリュウの“りゅうのはどう”が放たれる。チョロネコは高台から落下することで相手の攻撃を避けた。
チョロネコが高台の下の岩影に隠れたことで、再び高台の上と下での睨み合いとなった。そんな状況の中、ゴンがグレイに声をかけてくる。
「グレイくん。君はもっとチョロネコに期待しても良いのではないじゃろうか?」
「え? チョロネコに期待する……ですか?」
「そうじゃ。君のチョロネコは、君がもっと厳しい指示を出したとしても、きっと指示を実行できるはずじゃ。しかし君がチョロネコにあまり期待せずに甘い指示しか出さぬせいで、チョロネコの力を引き出せずにいるのじゃ」
グレイはゴンの言葉に思い当たる節があった。
グレイがチョロネコを仲間にした最初の頃、グレイはチョロネコを、ギャラドスに対抗できる戦闘員として育てようと思っていた。
しかし、厳しく育てようという思いは早い段階で消えた。戦闘狂のギャラドスに比べるとチョロネコがそこまで戦いを欲しているようには見えなかったし、1日ごとに……というよりも1回の戦いごとに成長していくギャラドスに比べてチョロネコの成長速度は並であり、戦いの才能が高い訳ではないとグレイが思ったからだ。
才能が高い訳ではない者を厳しく育てるのは気の毒だ。グレイはそう考え、それは戦闘においてチョロネコに出す指示の内容にも現れていた。グレイはチョロネコに無茶な指示をあまりしない。
(せっかくのジムリーダーからのアドバイスだ。チョロネコの底力を試してみるか……)
そう考えたグレイは、チョロネコに対して無茶な要求を始めた。
「チョロネコ! 相手の“アイアンテール”は全部避けろ! かするのもダメ。お前の技で相殺するのもダメだ!」
そしてグレイは鬼のような言葉を放つ。
「もし相手の“アイアンテール”に1回当たったら、お前の今日の夕飯は無し……もし2回当たったら……明日の朝食も無しだ!」
グレイの悪魔のような言葉を聞いたチョロネコは、『冗談よね……?』という
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