侵略の日
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夫!!」
「……なにで?」
「ラップで巻くよ!!」
――えぇ〜…?
「…すんません、それ俺が思ってたコールドスリープじゃない…冷凍保存です」
「ここに来るまでに捕虜捕まえ過ぎてコールドスリープカプセルがなくなっちゃったの!!予想外なの!!」
「………つまり」
「設計ミスだよ!悪かったな!!」
こんなおちょこちょい揃いの宇宙船でも星間航行出来るのだな。こりゃ、地球もそろそろかも知れないな……。そんなことを考えていると、またあのくそでかいスクリーンがどしんと落ちて来た。もちろん、青くて細いあいつが映し出されている。
「…うっわもう…鬱陶しいな!これ毎回落ちてくるんですか」
「設計ミ」「あ、もういいです」
「せ、船長!緊急事態ですっ!!」
「何だ今度は!!」
「母星が爆発しました!!」
なに―――――!!!
「えー!?えぇえええ何で何で!?」
「発電所のビスを技術者がうっかり…その…閉め忘れて…」
「設計ミス…ではないのだな!?」
ビスの閉め忘れ如きで母星もろとも吹っ飛ぶような構造自体が設計ミスの最たるものじゃないのか、とちらっと思ったが、もうなんか可哀想なので云わないことにする。
「…じゃ、帰るとこないのか…」
蒼白な顔面を更に青くして立ち尽くすモーフィアス船長の後姿を眺めながら、さっきローブで現れた時の姿を思い出してみる。…何がしたかったんだろう、この宇宙人。
「……あの、着ますか?」
何となくローブを差し出してみるが、着てる場合か嫌味か!と拒否される。あの、帰っても?と声を掛けると、あぁ、これからちょっと大事な会議だから…と、あっさり出してもらえた。
あれから数日後、首都の空を覆い尽くしていた円盤は突如姿を消した。
そしてモーフィアス船長は現在、俺の向かいのアパートに住んでいる。…技術提供と引き換えに、市民権を得る取引を政府と交わしたらしい。秘密裏に。最初は侵略する気満々だった彼らは、あの時点で何の対話もなされていなかったのをいいことに、難民として政府に助けを求めたのだ。
そして俺は『顔見知り』という理由で彼らの地球生活においての相談役にされた。
「おーい、沢井ー、醤油貸してくれー。買い忘れた」
「あの、あの、部屋の鍵が見つからなくて部屋に入れなくて……」
「すみませーん。うっかりアロンアルファを踏んで、畳が付いてくるんだけど」
『もしもし!?沢井か!?今新宿!女の子がいる店に入ったら50万払えって云われて…もしもし!?』
「沢井助けて、財布落とした!!」
「ドブに落ちた…携帯水没した…」
「な、なんかお父さんが事故起こしたから200万払えって電話が…!あれ、でもお父さん母星で」
あぁああああもう、こいつらどういう種族
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